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世界のモダンハウス

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【第30回】シンプルさと高度なエコロジーを融合した豪邸

スイスのジュネーブ950平米に建つ優雅な住宅

正面ファザード(外観)の夜景。白と黒のコントラストで二層を明確に分けて印象的。

静かさと優雅さをそなえた郊外のヴィラ

 スイスのジュネーブは、レマン湖の南西のほとりに位置し歴史と文化遺産の多い大都市である。日本からは飛行機なら約13時間半でこの風光(ふうこう)明媚(めいび)な街につくことができる。第二次大戦前には国際連盟の本部が置かれ、今も多くの国際機関がある。また大小さまざまな銀行が集中する金融の中心地としても知られている。
 スイス人といえば、ヨーロッパでは一、二を争う倹約家と言われているが、物価も高く、富裕層が多く住む。建築に興味のある人ならば、スイスを代表する世界的な建築家、ピーター・ズントーの名を思い出す方もいるだろう。その建築はシンプルで静かさと落ち着きがあり、時に優雅さと贅沢さも兼ね備えている。最高傑作は山中にあるヴァルスの温泉施設とされることが多いが、今回紹介する住宅もどこかこのズントーの豪華な施設を連想させる。大規模でありながら、ひと世帯のために設計されたヴィラ(別荘)であり、地下にプールまで備える豪邸とも言える。木立や緑の多い郊外に位置し、950平米の広い敷地に建てられているスイスの最先端住宅を紹介しよう。

出典:google map

金属フレームで自然光を取り入れる機能性とデザイン性

左:側面図。地下1階から地上2階の3階建て構造。
右:地下1階に光を取り込む工夫として、サンクン・パティオを多用しているのがこの家の特徴のひとつ。

この住宅は、地上2階・地下1階で、白と黒の薄い金属のフレーム(箱型の枠)で構成されたシンプルなつくりとなっている。どの階もゆとりのある空間が広がり、サンクン・パティオ(半地下の庭*)によって地下への採光と通気が保たれている。
ファサード(外観)は、3×1メートルの黒いセラミックタイルや白いアルミニウムパネルを用い、通気性も考慮されたデザインが特徴的。各部屋のインテリアとも溶け込むよう考えられている。
*地下室に光や風を取り込むために、地上より低い位置につくられた半地下の中庭のこと。

西側ファザード。フレームに奥行を持たせることで、室内への太陽光の入り具合も計算されている。

ファサード(外観)の白と黒のパターンは側面ごとに異なっている。フレーム(箱型の枠)の奥行きなど太陽光によってできる影を考慮し、夏季の熱対策として室内温度をコントロールするために設計された。空調を使わない北ヨーロッパと同様に、家の構造によって直射日光が室内に入るのを防ぎ、暑い時期でも快適に過ごせる工夫が見られる。

左:南側ファザード。2階の白いフレームは4室ある寝室の個別テラス。
右:2階平面図。 4つの寝室にはテラスも完備。その西側は主寝室でそれぞれの独立性を実現。

南側ファサード(外観)は黒のフレーム(箱型の枠)を二層に重ね、3.5メートル引き込み、室内まで奥行きを持たせている。2階にある4つの白いフレームは各寝室のテラスを形成し、プライバシーも保たれている。

左:2階に上がってすぐ、家族や客人も集うホワイエを配置し、大きな窓から光が入る解放的で落ち着きある空間が広がる。
右:2階は適度な光と視界を遮る目的で、黒いフレームを等間隔のルーヴァーのように並べている。

2階の寝室にはそれぞれの浴室とトイレがあり、トップライト(天窓)などから自然光を取り入れることができる。北側には、ホワイエ(団らん室)があり、大きな窓から自然光を取り込む事で開放的な空間となっている。プライバシーもしっかり確保されているのもポイントだ。それは、ホワイエに面した北側のファサード(外観)に特徴がある。黒い金属フレーム(箱型の枠)をルーヴァー(*)の様に垂直に配置することで、視界を遮りつつ光を十分に室内に届ける構造だ。
*板などを等間隔に並べ角度や隙間のつくり方によって、光や風を調整できる目隠し壁のこと。

左:地下階平面図。4つのサンクン・パティオからそれぞれの部屋へと繋がり、光を届ける。
右:プール側のサンクン・パティオはジャグジーと大型盆栽が印象的。ガラスのスライディング・ドアで視覚的にも繋がる。

 地下階は白いアルミニウムのパネルに囲われたプライベートなサンクン・パティオ(半地下の庭)に通じる構造となっている。採光を確保するためのサンクン・パティオに繋がる1階部分には、透明なパラペット(手すり壁)を用い、さらに光を通す工夫がされている。このサンクン・パティオはそれぞれ大きさが異なり、ガラスのスライディング・ドアで室内と緩やかに繋がるのもポイントだ。

書斎側のサンクン・パティオ。4つあるパティオはそれぞれの部屋に合わせてデザインされている。

サンクン・パティオ(半地下の庭)は周辺の空間と一体化するためにシンプルな構成となっている。プールやジャグジー、大きな盆栽とも良く溶け込んでいる。書斎から繋がる空間は、植栽や水盤も取り入れた趣のあるつくりになっている。

左:1階平面図。南側はリビングとキッチン・ダイニングが緩やかに繋がる大空間。
右:1階北側の階段には人造大理石が使われている。3層はこの階段で繋がっている。

1階の南側はメインキッチン、リビングで水平の繋がりを意識した空間構成だ。その北側は、地下から2階までの3層を繋ぐコーリアン(人工大理石*)張りの階段を配置した。北側は水平のほか、階段で上下階を移動する垂直の動きも意識して大きな窓からたっぷりと自然光を取り入れる工夫がなされている。
*天然大理石を粉砕してセメントなどで固めた大理石のこと。

高度な環境配慮とシンプルさの極み

左:1階のキッチンとダイニング。キッチンや収納棚など、すべてオリジナルデザインで無駄のないシンプルさが特徴。
右:主寝室のバスルームと洗面は大理石などを使い高級感が漂う。

室内の建具、ドア、水周り、キッチンのすべてはオリジナルデザインで、ホワイトに塗装したMDFボード(木質ボードの一種)や大理石などを用いている。水栓や金物はシンプルさを極めたものを採用している。

地下階にあるプール。全体的に落ち着いた色味でまとめ、プールの青などがアクセント。

室内のカラースキーム(色彩計画)はモノトーンに近く、黒、茶色、オフホワイト系の色をメインとし、椅子などの家具もブルー系で統一している。シンプルな空間の中で植物の緑とプールの青がアクセントとして目を引く仕掛けだ。

何より注目すべきは、エネルギー消費の点から高度なエコロジー(環境配慮)を実現する住宅で、「ミネルギー」認定と呼ばれるスイスの高機能環境住宅に認められている。三層ガラス窓をはじめ、スティフェライト(磁性材料)を用いた断熱材と通気性の高い外壁材など、先端のテクノロジー(技術)が採用されている。電気ヒートポンプと地下110メートルの地熱を利用した給湯システム、屋上には太陽光発電パネルもある。

豪邸ゆえの環境への配慮は日本でもますます関心が高まっている。それに加え、これから起こりうるパンデミック(流行病)の時代に、個人宅で発電や水の供給など独自のインフラを持つことが重要になるのは間違いない。インフラという面では、マンションに住むよりは戸建てに住む方が独自性を保ちやすいのは言うまでもない。ハウスメーカーはさまざまな環境や非常時の対策など、個別のライフスタイルに適した商品化が進んでいる。その実績で、環境配慮とライフスタイルの融合した家づくりのアイデアを提案してくれるはずだ。ぜひ相談してみたいものだ。

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