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【第24回】 2019年7月 氷山のかたちで家族を育むエコハウス

普通の住宅が多いメルボルンの郊外に存在感を放つ氷山のような外観。

ハロー効果の家とは?

 今回ご紹介する家は、オーストラリア南部の大都市メルボルン市の中心地から約10キロ、グレン・アイリスという地区にある。南部には大きな池のある自然公園などが多くある中、グレン・アイリス地区は最寄りのタラマリン空港までは約30キロとアクセスも良い人気の住宅地である。
 普通の住宅が立ち並ぶ中に、白い多角的な外観が強い存在感を放っている。設計者は「ハロー効果」という言葉に影響されデザインしたということで、この家をハロー・ハウスと呼んでいる。ハロー効果といえば、ふつう心理学の言葉で人が相手を認知する時に、外見や肩書きなど目立つ特徴で判断しがちなバイアス(偏り)のことを指す。心理学とは別に海洋生物学では、南極海で氷山のまわりに形成される生態系のことを指す言葉としても使われる。氷山のまわりにプランクトンが集まり、それを求めて様々な生き物が生息する、まさに自然のままの生態系(エコシステム)といえる。今回は、家という環境の中で家族が自然と集まることをイメージして設計したそうだ。家をひとつの氷山に見立てて、その住人が独自の生態系でまとまって成長していく。そのために家は高機能のエコハウスであることが重要と考えた。施主は夫婦と子ども4人の大家族で、氷山(家)の中で家族が楽しく生活することをコンセプトに家づくりがスタートした。

出典:google map

北欧デザインをヒントにした家族中心のデザイン

エントランスは壁の影になるように位置している。
また壁面を良く見るとレンガが使われている。
庭に面した開口部はスチールフレームと
木造の日除け(ルーフ)で日光浴も楽しめる。

 家そのものは合理的かつ機能的である。人目を引く鋭角的なヴォールト(頂部を尖らせたアーチ)が9.5メートルの高さで空に向かってそびえる白い外観は、仔細に観察するとレンガ造りの家である事が分かる。ドラマティックな外観は、ただのレンガの家ではなく、エントランスを壁の影に隠し開口も目立たない控え目な印象。庭に取り付けられた木の日除け(ルーフ)は適度な格子から差す光で日光浴なども楽しめるしつらえだ。

造り付けのインテリアや収納扉には地元材のビクトリアン・アッシュを使用している。

 内装は白を基調としたシンプルなインテリアに、様々な素材を組み合わせ遊び心を見せつつすっきりまとめている。明るい色のビクトリアン・アッシュ(ユーカリ科の木材)を扉などの建材や造作のインテリアに使い落ち着いた印象を与える。ビクトリアン・アッシュは地元・オーストラリアのものを使用している。その他に、天然コンクリート、リサイクルされたレンガ、未加工の真鍮などを用い、柔らかで温かみのある北欧デザインをヒントに持続的で飽きのこないデザインとして十分に考えられた内装である。

リビング・ダイニングに面した階段下には書斎スペースと
その左手が家族それぞれの収納ロッカーになっている。

 1階は、エントランスホールとマッドルーム(土間)、家族それぞれの収納ロッカー、リビング&ダイニング、ジムとしても使うストックルーム、ガレージ、家の中心部分にトイレがある。間仕切りなども少なくオープンな平面計画で、各室が北側にある庭に向かって広がる配置だ。

家の中央にある階段の手すりはメタルメッシュ。
採光窓からの光を届けるためオープン階段
でより開放感をつくり出す。

 中央には吹き抜けの階段があり、その手すりがメタルメッシュになっているのがユニーク。こうした軽やかなディテールも北欧を連想させる。階段の頭上には開閉可能な採光窓があり、自然光を取り込める。この階段空間が先に述べたハロー効果の中心的な役割を担ってもいる。メタルメッシュで緩やかな家族との繋がりを演出しただけでなく、機能的にも充実したつくりを実現した。階段がチムニー(煙突)のように夜間には室内の暖気をこの採光窓から排出する効果があり、空気の循環を生むことで快適な住環境を維持している。

2階平面図。大家族なので部屋数が多く、サブのリビングルームもある。
2階主寝室。床はビクトリアン・アッシュ。
壁にはリサイクルの煉瓦と北欧調なインテリアでまとめられた。
2階にあるサブのリビングルーム。
こちらの家ではあらゆる場所で過ごせる工夫が盛り込まれている。

 2階は快適な睡眠と休息できる空間を大切にした。サブのリビングルーム、バスルーム、ウォークインクローゼット、各自の寝室と細かく分かれているので、プライバシーを確保しつつ自由に空間を使えるよう工夫されている。1階、2階といろいろな場所で宿題をしたり、遊んだりができるので子供たちにとっては楽しいつくりの家である。

3階平面図。ロフトのような3階は収納とトイレがある。

 さらに、階段の上にはロフト式の物置とトイレがある。家族が頻繁に顔を合わせて自由に暮らすこと。それを念頭に置き計画された理想的な家といえる。

エコハウスとして確立したこだわりの家

レンガには環境に配慮した揮発性有機化合物の含まれない白い塗装を施している。

 この家が家族や環境に優しいエコハウスでもあることは、いろいろなところに表れている。まず、ソーラー発電で年間暖房負荷の5kwを作り出せるので、石油燃料の使用ゼロで環境にやさしい。日本での住宅用太陽光発電の全国的な平均は4.4~4.5kwという数字であることを考えると、平均より大きめのサイズのシステムをこの家は持っているといえる。発電されたエネルギーが給湯やプールの水の温めに使われているとのこと。ドイツパッシブハウス研究所が規定する性能認定基準を満たす省エネルギー住宅(エコハウス)を「パッシブハウス」(※)というが、まさにそれを実現しているのがこの家だ。塗装などに関しても環境へ配慮されたものを選んでいる。揮発性有機化合物(VOC)の低いケイ酸塩塗料をレンガに用いている。木材は地元産のものを使い、床はブルーストーン(天然の粘土質砂岩の一種の青石)を混ぜたものを使ったコンクリートの磨き仕上げなど、全ての素材を大切に選んだエコハウスである。

 家族を中心とした氷山のような家は、今日も家族を育むものとして存在感を放っている。環境意識の高まりで、エコハウス、パッシブハウスへの関心が強まっている現在。それに対応するモデルハウスもあり、装備ができるオプションがある。住宅展示場に行って確かめてみるといいだろう。

 

※日本では、ZEH住宅(ゼッチ(ネット・ゼロ・エネルギーハウスの略))という、エネルギ―効率を飛躍的に高め、エネルギー消費量がほぼゼロになることを目指した家を2020年までに50%以上とすることを目標としています。ハウスメーカーではその住宅品質に関連した商品を展開しております。ZEH住宅については、こちらをご覧ください。

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