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世界のモダンハウス

世界各地の参考にしたい個人住宅を順次紹介していきます。
住宅展示場で実物を見る前にイメージを膨らませ、あなたの家づくりのヒントにしてください。

【第18回】極上の解放感を楽しめる家

庭側から見た全景。傾斜する敷地から少し浮き上がったように見えるコンセプトでデザインされた。

湖畔のロケーションを生かす

 南半球の国、ニュージーランドは南島と北島の二つに分かれるが、両島ともに数多くの湖があることが知られている。北島にはニュージーランドで最大の湖、タウポ湖がある。オセアニアで最大で、その面積はシンガポールと同じと言うから巨大な内海のようだ。南にも多くの湖があり、いずれも風光明媚で観光地となっているが、ウォータースポーツやアクティビティのメッカとしてもたくさんの人を集める。この家も、そんなニュージーランドの北部で湖の複数ある地帯、観光で人気の湖の近くに位置する。

 「この家のポイントを簡単にいえば、湖のイメージをうまく捉えてフレームに切り取ること。それによって、ここに住む家族が素晴らしいロケーションを味わい、時には仲間たちと水を楽しむことだ」と設計者は言う。設計した、チョウ=ヒル・アーキテクは個人住宅ばかりでなく、集合住宅、店舗、健康施設、ランドスケープ、都市計画なども設計し、さまざまな創造性を集約してデザインすることを得意としている。

出展:google map
 

浮遊感があり自然光あふれた家

庭側からリビングを見ると外部と内部の連続性を感じる。
右の奥が主寝室。
建物の端にある主寝室の内部。二方向がガラスばりであると同時に、屋根が少し傾斜し、陽の光を室内に多く取り込むことができる。

 施主一家は、これまで約20年、自然のハーブなども繁茂するこの地で、よくキャンプを行っており、この自然にすっかり魅せられていた。設計者に求められた条件は、「周囲の景観とも調和し、軽やかで風が吹き抜けるようなアットホームな空間。そしてパドック(小さな牧場)か農場のあるような家」だった。主にシーズンごとに一家とその知人が長期休暇の際に宿泊するセカンド・ハウスとしての位置付けである。そして、キャンプの習慣もそのまま続けられるような設え、デザインも求められた。

 この家のデザインのポイントは、なだらかな斜面に沿って直方体の家が、まるで宙に浮いたように見えること。メインのリビングエリアと右奥にマスタースイートがあり、その上の屋根は傾斜しており、これもまた建物そのものから少し浮遊した感覚を与える意匠である。これにより内部では刻々と変化する陽の光を取り入れることができ、大きな窓から湖の景色をパノラマで楽しむことができるのだ。

スポーツ愛好家のための設え

平面図

 湖に向かって、三方向がガラスなので周囲の豊かな自然環境が建物や敷地全体と融合し、植栽は周囲からの視線をコントロールするフレームの働きをしている。そして、ウッドデッキも広くすぐに外にでることもでき、内と外の隔たりをなくし、農場のイメージである庭は贅沢なまでに広い。エントランスは二つに分かれており、一つはガレージからそのまま入ることができ、車に水上スキー用のモーターボートを繋いだ状態で駐車ができる「ドライブスルー・ガレージ」になっている。もう一つは、お客様用の入り口となっており、自由度が増している。ガレージと併設してキャンプ用具の収納、洗濯室、シャワーがあり、スポーツ好きの施主にとって、とても便利である。

ガレージ側の夜景。
木の壁が開くとドライブスルー・ガレージがある。
リビング・ダイニングの側から、もう一つのリビングを臨む。
窓は閉じられた状態。
スライディングの戸を開けると極上の解放感を味わうことができる。

 外部と内部とがウッドデッキによってスムーズに外から連続しており、スライディングの戸を全開することもできるために、内部は広く見え、もてなしにも使い勝手が良く、常に景観を感じさせる快適な団欒の空間となっている。

ナチュラルでモノトーンのインテリア

湖がよく見えるリビング・ダイニング。暖炉周りは木で覆っているので温かみを感じる。

 室内を見ると、まず宙に浮いたかのような天井の四方を囲むように水平なスリットの窓があるので採光が良く、部屋はほとんど常に明るい。また外部の光の移り変わりがこの窓からも内部に反映される。リビング・ダイニングのカラースキームは基本的にモノトーンとし、ホワイトの天井と壁、床はブラウン。アクセントが黒で薪を使う暖炉や開口の建具などに使っている。パーティションや仕切には明るい木のベージュを使い、家具やラグもこれに合わせて、ウォームカラーのブラウン、ベージュ、グレーをメインとしている。

 ウッドデッキを張り出したり、ガラスの開口を大きく取れば外部との連続性や自然を感じることができるので家が外に開かれる。外に開かれれば、それと呼応するように内部空間も広く感じられる。昔の日本の住宅は開口や窓については、大きな関心は払っていない傾向があったようだが、近年は建築への関心の高まりから、ケーススタディハウスに代表される開いた住宅が好まれている。住宅展示場にあるモデルハウスにも同じ傾向が出てきている。開放的な住宅の心地よさを体験しに、展示場へ足を運んでみてはいかがだろう。

造り付けの二段ベッドはユニークなデザイン。部屋別に違うベッドもゲストのために用意されている。
バスルームからも湖の風景を見ることができる。バスタブと洗面台の形が同じ船型なのもおしゃれなセンス。

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