高さに関する制限には、道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限、絶対高さ制限、日影規制の5種類があり、このうち最も厳しいものに準じます。
これは、前面道路や隣地の日照、採光、通風を確保するために、境界線から一定の勾配内に建物の高さを制限するものです。ここでは各制限について、解説します。
建物の高さに関する制限
道路斜線制限
道路の採光、通風、両側の建物の日照、採光、通風に支障をきたさぬよう、建物の高さを制限したものです。
前面道路の反対側の境界から敷地に向かって一定のルールに従い斜線を引き、その斜線の中に建物が収まらなくてはいけません。
- 【住居系用途地域の場合】
道路の反対側の境界から1:1.25の斜線内 - 【商業・工業系の用途地域の場合】
道路の反対側の境界から1:1.5の斜線内
建物を後退して建てた場合は、後退距離分が道路境界より後退し斜線制限が緩和されます。
角地の場合は、それぞれの道路から斜線制限を受けます。
隣地斜線制限
隣地の日照、通風、採光に支障をきたさぬよう、建物の高さを制限するものです。 第一種、二種中高層住宅専用地域、第一種、第二種住居専用地域、準住居専用地域の場合に適用をうけます。
- 隣地境界線に20mの垂直線を引きその上端から1:1.25の斜線内
- 商業・工業系用途地域の場合は31mの垂直線を引きその上端から1:2.5の斜線内
北側斜線制限
建物北側の土地の日照を確保するため、建物の高さを制限するものです。 第一種、二種低層住居専用地域、第一種、二種中高層住宅専用地域の場合に適用を受けます。
- 【第一種、二種低層住居専用地域・田園住居地域の場合】
真北側隣地境界線、または真北側前面道路の反対側の境界線に5mの垂直線を引きその上端から1:1.25の斜線内 - 【第一種、二種中高層住宅専用地域の場合】
真北側隣地境界線、または真北側前面道路の反対側の境界線に10mの垂直線を引きその上端から1:1.25の斜線内
絶対高さ制限
第一種、二種低層住居専用地域・田園住居地域の場合は、建物の高さは10m以内または12m以内に制限されています。
日影規制
日影規制は、3階建て以上等の建物によって冬至日(一年の中で影が一番長く伸びる日)に一定時間以上日影となる部分を、敷地境界線から一定の範囲内におさめる規制のことです。
中高層の建物によって生じる日影を一定の時間内に抑えることによって、周辺の居住環境を保護することを目的としています。
※日影規制の対象地域は、条例で指定されています。
※時間や範囲、近隣説明の有無等は、自治体によって異なります。
用途地域別 一覧表
道路斜線制限 | 隣地斜線制限 | 北側斜線制限 | 絶対高さ制限 | 日影規制 | |
---|---|---|---|---|---|
第一種低層住居専用地域 | ○ | × | ○ | ○ | ○ |
第二種低層住居専用地域 | |||||
田園住居地域 | |||||
第一種中高層住居専用地域 | ○ | ○ | ○ | × | |
第二種中高層住居専用地域 | |||||
第一種住居地域 | × | ||||
第二種住居地域 | |||||
準住居地域 | |||||
近隣商業地域 | ○ | ○ | |||
商業地域 | × | ||||
準工業地域 | ○ | ||||
工業地域 | × | ||||
工業専用地域 | |||||
用途地域の定めのない地域 | ○ | ○ | ○ |
制限や規制によっては、思い描いた家の形状にならない場合もありますが、 各ハウスメーカーが理想の住まいに近づくよう、様々な提案をしてくれます。 一度希望を伝えた上で、制限を守りながら実現する方法を相談してみるとよいでしょう。
監修・情報提供:逆瀬川 勇造(宅地建物取引士)
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