賢いローンの組み方や資金返済について、押えておくべき情報をピックアップしてご紹介します。
自己資金と返済できる額の把握
自己資金は新築・購入代金の20%以上が一つの目安
自己資金(頭金)は多ければ多いほど、借入後の返済額を抑えることができますが、かといって自己資金を貯めるのに時間がかかってしまっては、いつまでも家を購入できないことになってしまうでしょう。
いくら貯めればよいかは各々の考え方にもよるため、一概にはいえませんが、一つの目安として新築・購入代金の20%以上とするのがおすすめです。
自己資金を多く用意することで、将来住まいを売却することになったとき、売却代金でローン残債を完済できるアンダーローンの状態にしやすくなる点もポイントです。
返済額の目安は年収の1/4
資金計画では「いくら借りられるか」ではなく「いくら返せるか」を考えることが大切です。「いくら借りられるか」で計算すると、年間返済額が年収の35%程度まで借りられることが多いです。しかし、これだと実際には返済額が大きく感じてしまうケースも少なくありません。無理なく返済できる額は各々異なりますが、一つの目安として返済額を年収の4分の1までとするのがおすすめです。
贈与税がかかるケースに注意
自己資金に充てるために、親から資金贈与を受けたり、夫婦で手持ち資金を出し合ったりする場合は、資金負担を反映した割合で共有名義による登記をしないと、贈与税がかかることがあるので注意が必要です。
なお、親から資金贈与を受ける場合は、条件を満たすことで一定額を非課税とできる制度を利用することもできます。
住宅ローンの対象外となる諸費用について
一般的に、税金や諸費用は住宅ローンの対象外となるため、自己資金で用意する必要があります。(諸費用として登記費用、住宅ローンの手続き費用、保証料、仮住まいの費用、引越し費用や、新居における照明、エアコン、カーテンなどがあげられます)
これら諸費用の額としては、概ね購入価格の5%~15%程度は見込んでおいた方がよいでしょう。
住宅ローンの借り入れ先を選ぶ
資金を借り入れる際、自分の収入や住宅の価格によって借入額が決まります。(夫婦の収入を合算する方法もあります)
借入額の基準は各金融機関によって変わりますが、返済額は先述の通り、年収の4分の1程度を目安にしたほうがよいでしょう。
住宅ローンには大きく分けて以下の様な種類があります。
金利タイプや融資条件等、考慮して自分にあったローンを設定することが大切です。
また、住宅ローンは、現時点の金利と実際に適用される金利が異なる事があります。
財形住宅融資は購入契約時の金利を適用しますが、フラット35やほとんどの民間金融機関では、融資実行時の金利が適用されるので注意が必要です。
フラット35
民間金融機関と住宅金融支援機構が提携したローン。 民間金融機関がローンを実施し、そのローン債権を住宅金融支援機構が買い取るしくみ。 最長35年の長期固定金利が可能。返済完了までの金利・返済額が受け取り時に決定する。 保証料、保証人が不要、返済途中の繰上げ返済手数料も無料だが、民間ローンと比べると事務手数料が高めに設定されている点に注意。 設計検査、中間現場検査(工事の途中)、竣工現場検査(竣工時)を行う必要がある。
財形住宅融資(公的融資)
1年以上財形貯蓄をしていて、貯蓄残高が50万円以上あれば申し込める。 5年固定型金利制で、申し込み時の金利が適用されるのが特徴。 財形貯蓄残高の10倍以内で、最高4,000万円まで借り入れができる。
自治体融資(公的融資)
各都道府県、市町村などで設けており、借り入れ条件や借入額は自治体によって異なる。
融資条件としては、その自治体に一定期間以上居住、または勤務していることなどが主な条件。
民間融資
銀行や住宅ローン専門会社、信用金庫や保険会社などさまざまな金融機関が取り扱っている。
財形住宅融資や自治体融資等の公的融資に比べ、住宅の面積や築年数などに対する規制が少ないのが特徴。
各金融機関によって借り入れ条件や金利タイプ、借入額は異なる。
ローンの種類が多種多彩なので、利用の際は充分な情報収集が必要。
事前に借り入れ可能か、インターネットから簡易審査を申し込める金融機関もある。
ライフスタイルに合った返済方法とは
住宅ローンには利息が乗りますが、利息の返し方にも種類があります。
また、利息の額は金利で決まりますが、金利にも種類があり、メリット・デメリットがあります。
利息は先に返済してしまいたい、リスクを取らずに返したいなど、世帯年収やライフスタイルなど将来を見据えて、返済方法を選ぶとよいでしょう。
元金均等返済と元利均等返済
元金均等返済
毎月返済する元金が一定で、残元金に対して月毎の利息を上乗せして支払う返済方法です。当初の返済額は多くなりますが、総返済額は元利均等返済より少なくなります。現在の収入に余裕のある方におすすめです。
元利均等返済
元金と利息の合計額が一定となる返済方法です。金利が同じ間は、毎月の返済額(元金+利息)が一定なので、返済計画が立てやすくなります。借入当初は元金の減りが遅くなるため、利息の総支払額は多くなりますが、借入当初の返済額は元金均等返済より負担が軽くなります。
固定金利型と変動金利型、固定期間選択型金利について
主に、契約時に金利が固定されている固定金利型と、定期的に変わる変動金利型、また当初一定期間の金利が固定される固定期間選択型金利の3つがあります。尚、夫婦で住宅ローンを借りる等の場合、金融機関によってはそれぞれで別々のタイプを選択することも可能です。
固定金利型
借入れ時に全返済期間の適用金利が決定されているタイプ。民間金融機関でも利用できますが、長期固定金利住宅ローンは〈フラット35〉がお得に利用しやすくなっています。
メリット |
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デメリット |
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変動金利型
金融情勢の変化に伴い返済途中でも定期的に金利が変動するタイプ。 民間住宅ローンで採用。
メリット |
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デメリット |
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固定金利期間選択型
返済期間中の一定期間に固定金利が適用されるタイプ。民間住宅ローンで採用。
メリット |
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デメリット |
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毎月払いを基本に、余裕ができたら繰り上げ返済を
ローンの返済方法には、毎月返済のみとする方法と、ボーナス併用払いとする方法の2つがあります。
ボーナスは景気の動向に左右されやすいので、ボーナス併用を利用する場合でも、返済額を少なめに設定するのがおすすめです。毎月払いを基本として、まとまった貯蓄ができたら繰り上げ返済を行うほうがいいでしょう。借り入れ後、毎月の返済額とは別にまとまった金額を返済することにより、当初の返済計画よりも借入期間を短縮したり、総返済額を少なくしたりすることができます。
繰り上げ返済した金額は元金に充当されますので、借り入れ後早い時期に繰り上げ返済を行う程、金利負担分の減少が大きくなり有効的です。家計に余裕がある時に、頻繁に繰り上げ返済を行う事が早期返済への近道です。
手数料や条件、住宅ローン控除について確認を
繰り上げ返済に関しては、借り入れ機関によって手数料や条件が異なりますので、繰り上げ返済を予定している場合は、借り入れ前に確認することをお勧めします。
なお、住宅ローン控除といって、借入から13年間、住宅ローン年末残高の0.7%分について所得税や住民税から控除できる制度があります。
この住宅ローン控除適用期間中に繰り上げ返済すると、控除額が少なくなってしまう点には注意しなければなりません。
繰上げ返済の種類
ちなみに、繰上げ返済には2種類のタイプがあります。
期間短縮型 | 毎月の返済額を変えずに返済期間を短縮する。 |
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返済額軽減型 | 返済期間を変えずに、毎月の返済額を減らす。 |
一般的には期間短縮型のほうが借り入れ期間が短くなる分、支払い利息総額が減り、繰上げ返済の効果が高くなります。
その他、複数の金融機関から借り入れをしている場合は、以下の順番で繰り上げ返済を行う事が有効的です。
- 金利が高いローン
- 返済期間が長いローン
- 残高の多いローン
家族の将来にわたるライフイベントを見越して資金計画を立てることも大切です。子供の誕生や進学、結婚、自分たちの退職など、考えられる節目を計画に反映させ、安全で確実な資金計画を立てましょう。
モデルハウスでは建築プランのご相談と同時に、資金とローンについてもご相談いただけます。また、住宅展示場で資金相談会などのイベントが開催されている場合もあります。お気軽にご相談ください。
監修・情報提供:逆瀬川勇造(2級FP技術士(AFP)・宅地建物取引士)
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