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【第47回】暮らしをゆたかにするあかりと照明の選び方

住宅にも店舗にも街にも、当たり前のようにあかりが灯っています。場所によっては心地いいと感じたり、あるいは不快に感じたりすることがありませんか?あかりを灯す照明にはいろんな種類があり、取付位置や手法によっても空間の印象が大きく変わってきます。そこで、あなたの暮らしをゆたかにするあかりや、その照明の選び方について解説します。

【1】照明で一変するあかりの魔法

 照明計画をする上でまず大切なことは、その空間で何をするかを想定することです。例えばリビングでは何をしますか?映画の上映会やお友達を招いてのパーティ、日中はお子様が絵を描いたり、夜はゆっくりワインを傾けたりと一つの部屋でいくつもの行為が行われることでしょう。

 では、それぞれのシーンを思い浮かべてみてください。部屋のあかりは同じでしょうか?もし異なるのであれば、そのようにあかりを選びましょう。もちろん、その都度、照明を付け替えることはできません。また、一室一灯では実現できません。一室多灯にしましょう。

左)ダウンライトは壁面を明るく+光を集める(中央)で空間の明るさ感や表情が増す
右)間接照明のやわらかい光をベースにスタンドで手元の明るさと空間の表情をプラス
(出典)コイズミ照明㈱カタログ

 特にオススメしたいのがスタンドの活用です。夜になるほど低い位置からのやわらかい光は寛ぎや落ち着き感をもたらします。床に丸いスタンドを置いてみてはどうでしょう。スタンドがインテリアと空間をより引き立ててくれます。全体のあかりについては、ダウンライトは、インテリアの配置によっては均一に配灯すると明るさ感が低い、あるいは、視界にダウンライトの光が入り不快になることがあります。壁面を明るくするなど工夫してみましょう。

 天井、壁面の間接照明は、明るさ感を引き立たせ洗練された印象の心地よい空間になります。また、リビングにはどんな色の光が適しているでしょうか?LED照明には調色調光タイプがあります。それぞれのシーンに応じて切替えてみましょう。空間も気分も雰囲気がぐっと変わります。

左)間接照明、スタンドそれぞれを調光して一日の疲れを癒すリラックスした空間
右)間接照明は調色して白色へ、家族だんらんやホームパーティなど明るく楽しい空間
(出典)コイズミ照明㈱カタログ

【2】居室別に考える照明の選び方

 ここでは部屋別にどのような照明を選ぶと良いかについて解説します。照明はコンセントやスイッチの位置もすべて配線が伴います。そのため、早い段階で照明のプランを立てることになります。あなたのライフスタイルにあったデザインや機能性などを予めイメージしておきましょう。

寝室

 入眠前は睡眠誘導物質のメラトニンがたっぷり分泌されるよう電球色のやわらかい光にすることをお勧めします。光が直接目に入らない器具や取付位置を選びましょう。ブラケット、ペンダント、スタンドなどを使用する場合は、下面、全面がグローブで覆われたものを選びましょう。強い光が目の近くにあると快眠の妨げになります。

 また、ベッドより低い位置にスタンドを設置するのも一案です。調光すれば常夜灯になります。朝は、光センサーやタイマーをつけて部屋全体を自動的に明るくすることができます。その光により目覚めやすく体内時計がリセットされ一日が快適にスタートします。すべての照明は、ベッドでも調光、オンオフできるよう配線の打合せをしておきましょう。

サイドテーブルとスタンドの組合せ、就寝前は読書灯、
就寝時は調光点灯で常夜灯に切替

和室+広縁

 和室では、床座で生活するため少しでも照明は床に近づけたほうが明るさは確保できます。また、和室の天井は、木材など天然素材が使用されます。その木目や仕上げを引き立てるならペンダントライトは上下左右に光が放出されるので、天井がほんのりライトアップされ穏やかな空間になります。

 床の間がある場合は、間接照明や背の低い和紙などのスタンドライトを設置しましょう。そこに飾られるお軸、焼き物、お花などを引き立たせ和室の貴賓を高めてくれます。もし、座禅を組むならば、全体的な明るさよりも床の間だけに必要なあかりを点けるほうが心が落ち着きます。さらに、隣接する広縁(ひろえん)がある場合は、少し光と影がつくような懐かしい遊び心のある照明を選んでみるのも一興でしょう。

全体的にやわらかな光に包まれる和室に床の間のスタンドがアクセントになり空間の抑揚がつく

【3】ワンランクアップする照明計画

 あるマンションのエントランスでは24時間を6つのシーン(朝・日中・夕方・夜・深夜・真夜中)に設定しています。シーンとは照明を回路毎に自動オンオフ、調光を組合せたあかりの状態です。マンションの玄関としてデザイン性・快適性・省エネ・機能性を兼ね備えた空間です。改装前は全て蛍光灯でタイマー設定でした。改装後はLEDや白熱灯も使用しました。これらをコントローラーで制御し、自動的に必要な時間に場所に明るさや明るさ感を作り出し省エネ効果(調光は節電効果あり)を効率よく高めています。また、シーン切替は時間感覚や気持ちを切替えます。時間によるあかりの明暗や色の変化は、私たちの体内時計を整え心身共に元気にすることに役立ちます。

 このあかりの効能をあなたの家の照明計画に取り入れてはいかがでしょう?例えば、ダイニングに応用すると、朝は料理を始める6時に自動点灯、家族が出かける9時に自動消灯、子供が帰宅する夕方には自然光+自動で調光点灯、食事時間は明るく全点灯、入浴後入眠に備え21時に調光点灯、就寝時間の23時にスタンドのみ調光点灯、その他自動消灯。いかがですか?このように、照明は省エネ+エコロジー効果を高めることがトレンドになりつつあります。展示場にあるハウスメーカーの場合、インテリアコーディネーターがついてくれることも多くあります。イメージするあかり空間にするための照明計画を相談してみると良いでしょう。

左)日中シーン:テーブル側から降り注ぐ自然光によりソファーで読書もできる明るい空間
右)夕方シーン:塾帰りの子供から高齢者まで帰ってきてホッとするような出迎えの明るい空間
(※加齢により60才は20才の3倍以上の明るさが必要)
左)夜シーン:仕事で疲れた一日を心身共に安心感と落ち着きで包み込む空間
右)深夜シーン:この時間は心地よいほの暗さが安堵感をもたらし心身共に寛げる空間

 

監修・情報提供:小川 ゆかり (照明士・あかりナビゲーター)
©2017 Next Eyes.co.Ltd
本記事はネクスト・アイズ(株)が記事提供しています。
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