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家づくり最新コラム

【第23回】省エネ住宅でカラダにも家計にも優しい暮らし

今年度は、住宅取得者にとって大きなメリットが期待できます。特に省エネ性の高い住宅を取得する際には税制面、金利面で優遇幅が大きくなっています。例えば、住宅エコポイント制度(新しい名称は省エネ住宅ポイント制度)の復活。安倍内閣は住宅市場を活性化させる事を目的とした緊急経済対策の住宅エコポイント制度の再開のため、平成26年度補正予算に805億円を計上し、2月3日に参議院本会議にて成立しました。

【1】省エネ住宅って昔とどう違うの

 “家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる。暑き比わろき住居は、堪へ難き事なり”と吉田兼好が徒然草の中で述べた一節です。ここに詠まれている通り、これまで日本の住宅は、夏の高温多湿に対応することを中心に考えられてきました。家中に風が通るように大きな開口を設け、軒先をのばし夏の日射を遮る。逆に冬はこたつに集まって暖をとり、分厚い布団を何枚も掛けて寝るという、どちらかと言うと断熱を軽視した開放的な住宅が主流でした。一方現在の住宅は、エネルギー問題や地球環境問題に対応すべく省エネ化が進んでおり、快適性や健康性、知的生産性(居住空間が快適なことで、より生産性の高い活動が出来る)など間接的便益の実現も視野に入っています。

【図1】省エネ住宅が目指すもの

 省エネ住宅の歴史は、1970年代に起きた石油危機に端を発し、1979年に「エネルギーの使用の合理化に関する法律(以下、「省エネ法」)」が制定・施行され始まりました。そして何回かの改訂があり、1999年に次世代省エネルギー基準、2013年に現在の最高等級である改正省エネ基準が施行されています。一般住宅と省エネ住宅の境目は次世代省エネ基準が一つの目安であり、この基準をクリアしている住宅が一般に省エネ住宅と言われています。また、この4月より移行する改正省エネ基準を普及させるために、昨年12月よりさらに環境性能まで視野に入れた「低炭素建築物認定制度」の運用が始まっています。

 さらに、国交省は将来的な省エネ住宅の方向性として、2020年までにネット・ゼロ・エネルギー・ハウスを標準仕様(ハウスメーカーが新設する住宅の過半数を目標)にし(※1)を、2030年までに新築住宅のすべての(平均で)ネット・ゼロ・エネルギー化を目指し省エネロードマップを公開しています。

【図2】省エネ住宅と基準の関係 ※省エネ基準義務化に向けた工程表をもとに筆者が作成

 一般的に改正省エネ基準をクリアした住宅や認定低炭素住宅といわれる省エネ住宅では、“高断熱”“24時間計画換気”“冷暖房”が取り入れられていて、夏だけでなく冬も快適に過ごせるような工夫がされています。もちろん省エネ住宅ですから、冷暖房に係る費用も一般的な住宅の半分程度(※2)まで少なくできるのが特徴です。

※1:住宅の躯体・設備の省エネ性能の向上、再生可能エネルギーの活用等により、年間での一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロまたは概ねゼロとなる住宅(現行のエネルギー基本計画(平成22年6月閣議決定)において記載)
※2:国土交通省の試算によると、一般的な住宅の年間冷暖房費92,000円に対して、省エネ住宅は52,000円とその差は40,000円。

【2】省エネ住宅だからこそ出来るお得な制度

 省エネ住宅には、住宅を建てる際に使える3つの経済的なメリットがあります。①減税、②ローン金利優遇、③住宅ポイント制度です。これから順を追って説明します。

①減税

 居住者が、省エネ住宅(認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅)の新築や購入をして、その家屋を自己の居住の用に供した場合には、一定の要件の下で、その認定住宅について講じられた構造及び設備に係る「標準的な費用の額」(税額控除限度額は650万円の10%に相当する金額をその年分の所得税額から控除(控除しきれない金額がある場合には、翌年分の所得税額から控除)することができます。また、ローンを組まない場合でも標準的な性能強化費用相当額(上限650万円)の10%相当額を、その年の所得税額から控除されます(投資型減税)。また認定低炭素住宅については登録免許税が一般住宅の0.15%に対して0.1%に引き下げられます。さらに認定長期優良住宅の場合、不動産取得税の控除額が1300万円(通常は1200万円)に増額、固定資産税は5年間1/2(通常は3年間)に減額されます。

【図3】省エネ住宅と一般住宅の所得税減税額の違い

②ローン金利優遇

 住宅金融支援機構のフラット35S(※3)が利用できます。金利Aプランの場合、フラット35に対して当初の10年間の金利が0.6%優遇されますので、毎月の返済額と総返済額が大幅に減らせます。例えば、3000万円を35年間で返済した場合、約170万円もお得になります。

※3【フラット35】Sとは、【フラット35】をお申込みのお客さまが、省エネルギー性、耐震性などに優れた住宅を取得される場合に、【フラット35】のお借入金利を一定期間引き下げる制度です。

【図4】フラット35S金利優遇イメージ:住宅金融支援機構HPより

③省エネ住宅ポイント制度

 景気対策の一環として、省エネ住宅ポイント制度(旧住宅エコポイント)が復活しました。省エネ住宅ポイント制度は、省エネ住宅の新築やエコリフォームの普及を図るために、一定の省エネ性能を有する住宅の新築やエコリフォームに対して、様々な商品等と交換できるポイントを発行するお得な制度です。新築住宅に発行されるポイントは30万ポイントで、この発行されたポイントは、《省エネ・環境配慮に優れた商品》《地域振興に資するもの(地域商品券、地域産品、復興支援)》《全国で使える商品券・プリペイドカード(商品の提供事業者が環境寄附を行うなど、環境配慮型のもの)》《環境寄附・復興寄附》に利用できます。対象となるエコ住宅は「平成26年12月27日」以降に工事請負契約したもので、かつ、着工は契約締結日~平成28年3月31日となっていますので着工時期については注意が必要です。また、分譲住宅については平成26年12月27日以降の不動産売買契約分が対象となります。

 また27年度の補助金について実施時期や対象物件について決定しておりませんが、今後発表されますので国土交通省のHPを参照にするといいでしょう。

 注意点として、原則として目的が同じである他の補助金との併用はできません。ただし、国費の含まれない市区町村・都道府県独自の補助金については併用可能です。

 これから家づくりを考える際は、省エネ住宅をご検討ください。もちろん省エネだけで良い家はつくれませんので、暮らし方や将来のこともあわせて考え整理しておくといいでしょう。国の政策としても2030年にはネット・ゼロ・エネルギー住宅が一般的になると予想されますので、もうひとランク上の住まいづくりをご検討することをお勧めします。一度お近くの住宅展示場のハウスメーカーにお話を聞いてみてはいかがでしょうか?

 

監修・情報提供:株式会社Green Bridge 代表取締役 荒木 康史
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本記事はネクスト・アイズ(株)が記事提供しています。
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