【第168回】岐阜県で注文住宅を建てるなら？おすすめのエリアや費用相場、お役立ち情報を紹介
2025.10.31
岐阜県は、名古屋をはじめとする都市部へのアクセスが良好でありながら、雄大な山々や清流、歴史ある町並みが息づく落ち着いた住環境が魅力のエリアです。川沿いや城下町など地域ごとに個性があり、暮らしながら四季や文化を身近に感じられます。
本記事では、岐阜県の特徴や家づくりにかかる費用相場、暮らしやすいおすすめのエリア、利用できる補助金制度など、家づくりに役立つ情報を紹介します。理想の暮らしを叶えるための参考にしてください。
＜ＩＮＤＥＸ＞
岐阜県の基本情報
まずは、注文住宅を建てる際に役立つ岐阜県の基本情報を紹介します。岐阜県での新生活をイメージしながら、住宅計画の参考にしてください。
岐阜県の地域特性
岐阜県は日本のほぼ中央に位置する、7つの県に囲まれた内陸県です。面積は約1万621k㎡で、2025年9月現在の人口は約190万人です。北部の飛騨地域には、御嶽山や乗鞍岳など標高3,000mを超える山々が連なっています。南部の美濃地域は、濃尾平野に木曽三川が流れ、日本の名水百選に選ばれる美しい清流が魅力です。 「飛山濃水」の地と呼ばれる岐阜県は自然に恵まれており、県内の地形は高度差が大きく、平野部と山間部で地域による気候差が顕著に表れています。
交通アクセス
岐阜県は、関東・関西双方からのアクセスに優れた立地です。県内にはJR東海道本線、高山本線、中央本線、名古屋鉄道の各路線が運行し、主要駅は岐阜駅や名鉄岐阜駅です。また、県内には岐阜羽島駅が停車駅の東海道新幹線が通っており、名古屋や大阪、東京への移動もスムーズに行えます。
高速道路は名神高速道路、中央自動車道、東海北陸自動車道が通っています。2025年には東海環状自動車道の複数区間が開通し、さらに交通の利便性が向上しました。また、中津川市にはリニア中央新幹線の岐阜県駅（仮称）が設置予定で、開業後は都市圏との時間的な距離が一気に縮まる見込みです。
治安
岐阜県の治安は地域によって差があります。犯罪発生率が特に低いのは東白川村で、八百津町、郡上市、恵那市なども比較的治安が良好なエリアです。一方、岐阜市などの都市部は多くの人が行き交うため、治安面がやや懸念されます。
県内では地域ボランティアによる防犯パトロールや、県警による防犯アプリ・メール配信など、さまざまな防犯対策が行われています。地域コミュニティがしっかりした郡部や住宅地域を選ぶと、より安全で落ち着いた生活環境が期待できるでしょう。
文化・イベント
岐阜県には世界遺産の白川郷合掌造り集落や、国史跡に指定された岐阜城など、歴史的な見どころが豊富です。伝統文化と自然が調和した岐阜県では、四季折々の祭りやイベントが地域を彩ります。豪華絢爛な屋台が巡行する春の高山祭は日本三大美祭の一つです。地域ごとの伝統行事としては古川祭や大垣まつりが知られており、1300年以上の歴史を持つ長良川の鵜飼は、夏の風物詩として親しまれています。
施設（買い物・医療・子育て）
岐阜県内には生活に欠かせない施設が充実しています。大型商業施設ではモレラ岐阜をはじめ、イオンモール土岐や土岐プレミアム・アウトレットなどがあり、買い物やレジャーを楽しめます。
医療面では大垣市民病院、岐阜県総合医療センター、岐阜大学医学部附属病院などの総合病院が整備されており、医療体制が整っています。子育て世帯には、河川環境楽園オアシスパークや恵那峡ワンダーランドなどの、子どもが遊べる設備が整った施設が人気です。また、県内には川のレジャーやキャンプ場、スキー場などのアウトドア施設が豊富にあります。
岐阜県で注文住宅を建てる場合の費用相場
2024年度のフラット35利用者調査によると、岐阜県で土地付き注文住宅を購入する費用（土地の費用と建築費）は4,390万円が相場です。以下では土地と建物に分けて、注文住宅を建てる際の費用相場を解説します。
土地の費用相場
土地付き注文住宅の土地取得費用は、全国平均が1,495万1,000円に対し、岐阜県平均は853万5,000円です。中部エリアの中心に位置しながら、手頃な価格で土地を取得できるのが魅力です。
建築費相場
以下では、土地の有無に分けて岐阜県で注文住宅を建てる際の建築費相場を解説します。これから土地を探す方は、土地取得費用と建築費の両方を含めた土地付き注文住宅を参考にしましょう。既に土地を所有されている方は土地代がかからないため、家づくりの資金の大部分を建築費に充てられます。
土地から購入する場合（土地付き注文住宅）
岐阜県の土地付き注文住宅の建築費相場を全国と比較しました。
| 敷地面積 | 延床面積 | 建築費 | |
|---|---|---|---|
| 岐阜県平均 | 310.0㎡ | 109.1㎡ | 3,536万5,000円 |
| 全国平均 | 251.2㎡ | 111.1㎡ | 3,512万円 |
岐阜県は全国平均より敷地面積が約60㎡広く、ゆとりのある敷地を確保できます。建築費と延床面積は全国とほぼ同水準です。
既に土地を所有している場合（注文住宅）
次に、既に土地を所有している場合の建築費相場を全国と比較しました。
| 敷地面積 | 延床面積 | 建築費 | |
|---|---|---|---|
| 岐阜県平均 | 388.2㎡ | 112.3㎡ | 3,776万5,000円 |
| 全国平均 | 329.7㎡ | 118.5㎡ | 3,932万1,000円 |
土地付き注文住宅の場合と比較して、全国平均・岐阜県平均ともに建築費が高額です。土地代がかからない分、建物により予算をかける傾向にあります。
注文住宅を建てるのにおすすめのエリア
ここからは、岐阜県で注文住宅を建てるのにおすすめのエリアを紹介します。なお、土地平均価格はSUUMO物件情報に掲載された、2025年10月時点のデータを使用したものです。
多治見市
多治見市は、岐阜県東濃地方に位置する人口約10万4000人の街です。JR中央本線の快速で名古屋まで約30分とアクセスが良好で、名古屋のベッドタウンとして発展しています。7世紀から続く美濃焼の産地として知られ、由緒ある窯元や陶磁器に関する美術館、資料館が点在しています。
「本町オリベストリート」には歴史ある商家や蔵が並び、2016年開館の「多治見市モザイクタイルミュージアム」は独創的な建築で人気です。美しく見応えある庭園や、国宝の観音堂、開山堂を有する虎渓山永保寺も魅力的な観光スポットです。駅周辺の再開発が進み、生活利便性の高い街といえます。
【土地価格相場】
14万円／坪
土岐市
土岐市は、岐阜県東南部に位置する人口約5万3,000人の街です。JR中央本線の快速を使えば、名古屋まで約30分でアクセスできます。古くから美濃焼の産地として知られ、陶磁器の工房やショップ、イベントが点在し、文化的な魅力があります。
「道の駅 土岐美濃焼街道 どんぶり会館」では、美濃焼の展示や販売に加えて体験イベントも実施されており、暮らしの中で地域文化に触れることが可能です。紅葉の名所として知られる「曽木公園」では、季節の移ろいを身近に感じられます。また、土岐市ではさまざまな住宅補助金制度が充実しているため、家族で新しい生活をスタートさせる際の住宅取得の場所としておすすめです。住宅展示場については以下をご覧ください。
【土地価格相場】
7.8万円／坪
可児市
可児市は岐阜県南部に位置し、愛知県犬山市に隣接する人口約9万9,000人の街です。名鉄広見線とJR太多線が利用でき、名古屋まで約60分、岐阜市まで約50分とアクセス良好です。
明智光秀の生誕地として知られ、明智城跡や天龍寺などの歴史スポットが点在しています。世界最大級のバラ園「ぎふワールド・ローズガーデン」も魅力です。スーパーや飲食店が充実しており、自然豊かな環境で子育て世帯にも住みやすい街として人気があります。
【土地価格相場】
13万円／坪
瑞浪市
瑞浪市は、岐阜県南東部に位置する人口約3万5,000人の自然豊かな街です。JR中央本線と中央自動車道が通り、車または電車で名古屋に約50分でアクセスできます。
瑞浪市には、約25万点もの化石が保管されている化石専門の博物館があり、瑞浪化石博物館では化石採取体験が可能です。また、美濃焼・みずなみ焼の陶磁器が有名で、ゴルフ場が多い街としても知られています。保育園から大学まで教育機関が揃い、待機児童ゼロという子育て環境の良さから、ファミリー世帯の移住も増加しています。
【土地価格相場】
13.6万円／坪
恵那市
恵那市は、岐阜県南東部に位置する人口約4万4,000人の街です。JR中央本線や中央自動車道が通り、県外からのアクセスも良好です。
市内には奇岩が連なる景勝地「恵那峡」や、中山道の宿場町として栄えた「大井宿」など、歴史と自然に触れられる名所が点在しています。また「恵那 銀の森」では、緑に囲まれた園内で食事や買い物、スイーツ巡りを楽しめます。
自然に囲まれた静かな環境でありながら商業施設や医療機関も整っており、暮らしの安心とゆとりを両立しやすいエリアといえるでしょう。
【土地価格相場】
7万円／坪
中津川市
中津川市は、岐阜県の東南端に位置する人口約7万2,000人の街で、JR中央本線と中央自動車道が通っており、名古屋方面へは電車・車ともに移動しやすい立地です。古くから中山道の宿場町として栄え、馬籠宿など歴史的景観が残る一方、木曽川や恵那山を望む雄大な自然も魅力です。また、栗の名産地で、有名和菓子店があることでも人気です。
豊かな自然と清流、渓谷を身近に感じられる環境で、渓流釣りやハイキングなどアウトドアを楽しめます。自然と生活の距離感がちょうど良く、静かに暮らしたい方におすすめのエリアといえるでしょう。
【土地価格相場】
9.3万円／坪
岐阜県で注文住宅を建てるときに役立つ補助金情報
ここでは、岐阜県で注文住宅を建てるときに役立つ補助金情報を解説します。注文住宅を建てるには高額な費用が発生するため、建築費の負担を軽減し、理想のマイホームを建てるためにお役立てください。
国が実施する補助金情報
以下では、国が実施する補助金情報を3つ紹介します。
子育てグリーン住宅支援事業
子育てグリーン住宅支援事業は、主に子育て世帯・若者夫婦世帯による高い省エネ性能を備えた新築取得や、住宅の省エネリフォームを後押しする補助制度です。
新築ではGX志向型住宅や長期優良住宅などが対象となり、最大で1戸あたり160万円の支援を受けられます。工事前の申請が必須のため、着工前に制度の要件確認と事業者との調整を済ませておくことが重要です。交付申請の受付期間は、遅くとも2025年12月31日までとなっています。
※GX志向型住宅については、2025年7月22日にて受付が終了しています。
給湯省エネ2025事業
給湯省エネ2025事業は家庭からのCO₂削減を目的に、高効率給湯器（エコキュート等）の導入を支援する補助制度です。対象機種の設置で、1台あたり6万～16万円の補助を受けられます。また、一定の要件を満たす場合は、給湯器の性能に応じた定額が加算されます。
補助対象は所定の登録製品に限られ、購入・設置後の申請はできません。購入前に対象型番・事業期間・予算消化状況を確認し、早めに動くことが採択のポイントです。
戸建住宅ZEH化等支援事業
戸建住宅ZEH化等支援事業は、戸建住宅をゼロエネルギー住宅（ZEH）水準へ改修・新築する取り組みを支援する補助金です。
断熱性能の強化や高効率設備・太陽光発電等の導入など、要件を満たす計画に対して定額の補助が交付され、基本的な補助額はZEHが55万円、ZEH+が90万円です。
ZEH認定を前提とした設計・申請が必要になるため、設計段階から工務店・設計者とのすり合わせが欠かせません。
岐阜県が実施する補助金情報
次に、岐阜県の各自治体が独自で実施する補助金を3つ紹介します。国の補助金と併せて以下も検討してみましょう。
【土岐市】土岐市住宅用エネルギーシステム設置費補助金
土岐市では、住宅への太陽光発電・蓄電池・V2H などの導入費用を支援しています。市内に住所があり、対象機器を市内住宅に新規で導入することが主な適用条件です。補助額は設備区分ごとに定められ、上限は6万〜10万円です。
太陽光発電と蓄電池については、市が別に実施する「土岐市太陽光発電設備等設置費補助金」と併用申請できないため、申請前にどちらを選ぶか慎重に判断しましょう。ほかにも、市外から土岐市に転入して定住を促進するための土岐市定住促進奨励金や、若者夫婦の新婚生活スタートを応援する結婚新生活応援補助金なども活用可能です。
【多治見市】多治見市移住支援補助金
多治見市では、県外から市内へ転入した世帯を対象に、移住に伴う費用の一部を補助します。交付申請する年度の4月1日時点で申請者が44歳以下であること、一定期間の継続居住が見込まれること、世帯構成・所得などの要件を満たすことが主な適用条件です。
補助額は1世帯あたり30万円です。申請は転入後6ヶ月以内と期限が短いため、住宅計画と並行して早めに要件の確認と書類準備を進めておきましょう。
【中津川市】新婚さん住まいる応援事業補助金
中津川市では新婚世帯を対象に、住宅取得にかかる費用を補助します。住宅取得等の契約時に結婚5年以内など、年齢・所得・居住継続などの要件を満たすことが適用条件です。基本的な補助額は30万円で、新築住宅の購入などの条件を満たすと加算され、最大で50万円を受け取れます。申請は、契約日から1年6ヶ月以内に行う必要があります。また中津川市では、UIターン者用住宅のある地域で住宅取得する子育て世帯を応援するための、子育て世帯住まいる応援事業補助金もあります。本補助金制度と併用不可な点には注意しましょう。
岐阜県に注文住宅を建ててのどかな暮らしを叶えよう
岐阜県は都市部へのアクセスと自然環境のバランスに優れ、土地価格を比較的抑えられるエリアです。エリア選びに加えて国や自治体の補助金も活用することで、費用負担を抑えつつ理想の住まいづくりが進められるでしょう。
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