【第167回】茨城県で注文住宅を建てるなら？暮らしに役立つ地域の特性や費用相場、補助金情報を紹介
2025.10.23
茨城県で注文住宅を建てる際、「どのエリアが住みやすい？」「費用はどれくらいかかる？」「利用できる補助金制度はある？」など、気になることはたくさんあるでしょう。本記事では、茨城県の地域特性や住居を構えるのにおすすめのエリア、注文住宅の費用相場、補助金制度などをわかりやすく解説します。茨城県で注文住宅の建築を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
＜ＩＮＤＥＸ＞
茨城県の基本情報
茨城県で注文住宅を建てる前に、まずは地域の特性や暮らしやすさについて理解しておきましょう。交通アクセスや治安、文化、生活に必要な施設など、暮らしの基盤となる情報を紹介していきます。
茨城県の地域特性
茨城県は関東地方の北東部に位置し、総面積は約6,097k㎡で全国第24位の広さです。平坦部が多く、可住地面積は全国4位の広さとなっています。人口は約280万人です。
茨城県は太平洋に面し、温暖で過ごしやすい太平洋岸気候区に属しています。冬は晴天が多く乾燥し、梅雨期や秋頃には雨量が多いのが特徴です。県北部には阿武隈高地や八溝山地の山々が連なり、県南・県西は関東平野の広大な平地が広がります。山・海・湖がある豊かな自然環境が魅力です。
交通アクセス
茨城県内にはJR常磐線・水郡線、つくばエクスプレス、鹿島臨海鉄道などの鉄道路線が走り、主要駅には水戸駅、つくば駅、土浦駅などがあります。高速道路は常磐自動車道、北関東自動車道などが整備され、東京へのアクセスも良好です。ほかにも、路線バスやコミュニティバスなど、多様な交通サービスが提供されています。茨城県の自家用車の保有台数は全国トップクラスで、車は生活に欠かせない移動手段です。
治安
茨城県は、地域によって治安状況が異なります。刑法犯の犯罪遭遇率は全国6位と比較的高めですが、近年は減少傾向です。治安が良いエリアとしては、以下が挙げられます。
- 日立市、ひたちなか市などの県北部
- つくばみらい市、守谷市などの県南部
県や各自治体では、防犯カメラの設置や茨城県警察防犯アプリ「いばらきポリス」の活用など、さまざまな防犯対策を実施しています。安心して暮らせる環境づくりが進められているのが特徴です。
文化・イベント
茨城県には歴史的な文化財や観光名所が数多くあります。水戸の「偕楽園」は日本三名園の一つで、梅まつりには多くの観光客が訪れます。弘道館や水戸城跡など、水戸徳川家ゆかりの史跡も見どころです。
真壁の古い町並みは、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。ほかにも水戸黄門まつり、石岡のおまつり、下館祇園まつりなど、地域色豊かなイベントが開催されます。国営ひたち海浜公園のネモフィラやコキアも有名です。
施設（買い物・医療・子育て）
茨城県には、以下のような生活に必要な施設が充実しています。
【買い物施設（大型商業施設）】
- イオンモール水戸内原
- イーアスつくば
- 水戸オーパ
- ファッションクルーズひたちなか
- 道の駅グランテラス筑西 など
【医療施設】
- 筑波大学附属病院
- 総合病院土浦協同病院
- 日立総合病院
- 茨城県立中央病院
- 水戸医療センター など
【子育て施設】
- 国営ひたち海浜公園
- JAXA筑波宇宙センター
- ザ・ヒロサワ・シティ
- 千波湖周辺公園
- アクアワールド茨城県大洗水族館 など
茨城県で注文住宅を建てる場合の費用相場
ここでは、茨城県で注文住宅を建てる際の費用について、全国平均と比較しながら土地と建物の相場を紹介していきます。2024年度住宅金融支援機構のデータによると、茨城県で土地と建物を購入する場合の費用相場は4,369万円です。土地の有無によって費用が異なるため、それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。
土地の費用相場
茨城県の土地取得費用は、全国平均と比べて手頃な価格となっています。全国平均の土地取得費用が1,495万1,000円であるのに対し、茨城県の平均は817万円です。全国平均の半額に近く、土地取得のハードルが低いことが茨城県の大きな魅力といえます。広い敷地を確保しやすく、ゆとりある住まいづくりが実現できるでしょう。
建築費相場
以下では土地の取得状況に応じて、茨城県で注文住宅を建てる際の建築費相場を解説します。
土地から購入する場合（土地付き注文住宅）
以下では、茨城県の土地付き注文住宅の建築費を全国平均と比較しました。
| 敷地面積 | 延床面積 | 建築費 | |
|---|---|---|---|
| 茨城県平均 | 346.1㎡ | 115.3㎡ | 3,552万円 |
| 全国平均 | 251.2㎡ | 111.1㎡ | 3,512万円 |
茨城県の建築費は全国平均をやや上回っています。また、敷地面積が全国平均より広い傾向が見られます。
既に土地を所有している場合（注文住宅）
土地を既に取得している場合の建築費は、以下のとおりです。
| 敷地面積 | 延床面積 | 建築費 | |
|---|---|---|---|
| 茨城県平均 | 434.7㎡ | 116.8㎡ | 3,737万9,000円 |
| 全国平均 | 329.7㎡ | 118.5㎡ | 3,932万1,000円 |
既に土地を所有している場合は、全国平均より広い敷地に、全国平均よりも建築費を抑えてゆとりある住まいづくりが可能です。
注文住宅を建てるのにおすすめのエリア
茨城県には魅力的なエリアが数多くあります。ここでは、注文住宅を建てるのに特におすすめのエリアを6つ紹介します。それぞれの特徴や土地価格、住みやすさのポイントをチェックしてみましょう。なお、土地価格相場はSUUMOの土地価格相場情報を参照しています。
水戸市
水戸市は茨城県の県庁所在地で、人口は約26.5万人です。JR常磐線で東京駅まで約1時間15分とアクセス良好です。徳川家ゆかりの偕楽園や弘道館などの歴史的名所があり、水戸芸術館では質の高い文化芸術に触れられます。ショッピングモールや商店街、百貨店が揃い、買い物環境が充実しています。
また、小・中学校給食費の無償化など子育て支援も手厚く、ファミリー世帯に人気です。東京近郊から水戸市へ移住する方は、条件を満たせば60万〜100万円以上の支援金が支給される水戸市移住支援事業が活用できます。
注文住宅をご検討の方は、以下の住宅展示場をぜひご利用ください。
ハウジングギャラリー水戸
【土地価格相場】
11.7万円／坪
ひたちなか市
ひたちなか市は茨城県の中央部に位置し、人口は約15.2万人です。JR常磐線の勝田駅から東京駅まで乗り換えなしで約70分、水戸駅までは約5分とアクセス良好です。ネモフィラやコキアが有名な国営ひたち海浜公園があり、自然を身近に感じられます。
また、大型商業施設の「ファッションクルーズ ニューポートひたちなか」があり、買い物環境が充実しています。2021年4月には待機児童ゼロを実現し、子育て支援センター「ふぁみりこ」など子育て支援が手厚く、公園の数は県内第1位です。都会的な便利さと自然の豊かさを両立したい方におすすめのエリアです。
注文住宅をご検討の方は、以下の住宅展示場をぜひご利用ください。
茨城県民ハウジングパーク「すまいりんぐひたちなか」
【土地価格相場】
9.1万円／坪
筑西市
筑西市は茨城県の西部に位置し、人口は約9.7万人です。JR東日本水戸線など3路線が走り、東京駅まで東北新幹線で最短70分でアクセスできます。筑波山を望む自然豊かな環境で、鬼怒川や小貝川が流れる穏やかな景色が広がります。保育料が低く設定され、第2子以降の保育料全額助成など、子育て世帯への経済的サポートが充実しています。常陸秋そば、こだますいか、梨、いちごなど新鮮な農産物が豊富で、程良い田舎と利便性の高さが魅力です。
注文住宅をご検討の方は、以下の住宅展示場をぜひご利用ください。
ハウジングパーク筑西
【土地価格相場】
5.4万円／坪
下妻市
下妻市は茨城県の南西部に位置し、人口は約4.1万人です。関東鉄道常総線が通り、つくばエクスプレスとの接続駅である守谷駅まで約30分、そこから秋葉原駅まで約30分でアクセスできます。鬼怒川が流れる自然豊かな環境で、砂沼サンビーチや砂沼広域公園などレジャー施設も充実しています。大型商業施設「イオンモール下妻」があり、買い物や映画などを楽しめます。落ち着いた田舎暮らしを希望する方におすすめのエリアです。
【土地価格相場】
4万円／坪単価
桜川市
桜川市は茨城県の西部に位置し、人口は約3.5万人です。JR水戸線が通り、岩瀬駅や大和駅などがあります。土地価格は県内でも特に手頃で、広い土地を取得しやすいエリアです。筑波山の麓に位置し、自然環境に恵まれた静かな住環境が魅力といえるでしょう。また、桜川市には歴史的な町並みが残されているのが特徴です。国指定の史跡である真壁城跡や真壁伝承館、月山寺美術館などがあり、暮らしながら歴史や文化に触れられます。
加えて、桜川市では「さくらがわ人生応援住宅取得助成金」として、最大200万円の手厚い住宅取得支援を実施しています。のどかな田園風景が広がり、歴史や自然に囲まれた暮らしを希望する方に最適のエリアです。
【土地価格相場】
2.2万円／坪
結城市
結城市は茨城県の西部、栃木県との県境に位置する人口約4.8万人の街です。JR水戸線が通り、小山駅で東北新幹線に乗り換えれば東京駅まで約1時間でアクセスできます。結城紬は国の重要無形文化財に指定され、伝統工芸の町としても知られています。鬼怒川や田川が流れる自然豊かな環境で、水と緑に恵まれた住環境です。結城蔵美館や結城市民文化センターなど文化施設も充実しています。「結城百選」に選ばれた歴史的建造物や景観スポットが点在し、歴史と文化を感じられる街並みです。
【土地価格相場】
7.2万円／坪
茨城県で住宅を建てるときに役立つ補助金情報
ここからは、茨城県で注文住宅を建てる際に活用できる補助金制度を紹介します。国と各自治体の補助金制度がありますが、併用できないケースもあるため、事前にしっかり確認して利用できる制度を選びましょう。
国が実施する補助金情報
国が実施する主な補助金制度は以下のとおりです。
子育てグリーン住宅支援事業
子育てグリーン住宅支援事業は、省エネ性能の高い住宅の新築やリフォームを支援する制度です。対象となるのは、主に長期優良住宅やZEH水準住宅を新築する子育て世帯または若者夫婦世帯です。1戸あたりの補助額は以下のとおりです。
- GX志向型住宅：160万円
- 長期優良住宅：80万円
- ZEH水準住宅：40万円
長期優良住宅やZEH水準住宅で古家の除却が伴う場合は、20万円／1戸が加算されます。申請は登録された事業者を通じて行う必要があるため、事前に事業者登録の確認が重要です。
※GX志向型住宅については、2025年7月22日にて受付が終了しています。
給湯省エネ2025事業
給湯省エネ2025事業は、高効率給湯器の導入を支援する制度です。対象となるのは、主に以下の給湯器を設置する新築・既存住宅です。1台あたりの補助額（基本額）は以下のようになっています。
- エコキュート：6万円
- ハイブリッド給湯機：8万円
- エネファーム：16万円
※戸建住宅はいずれか2台まで
設置する給湯器の性能に応じて、上記に4万〜7万円の補助額が加算されます。また、電気蓄熱暖房機や電気温水器を撤去する場合は、撤去加算額4万〜8万円が加算されます。登録された給湯省エネ事業者を通じて申請する必要があり、予算上限に達し次第受付終了です。
戸建住宅ZEH化等支援事業
戸建住宅ZEH化等支援事業は、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の普及を促進する制度です。対象となるのは、年間の一次エネルギー消費量がおおむねゼロとなる住宅を建築・購入する方です。1戸あたりの補助額は、以下のとおりです。
- ZEH(ゼッチ)：55万円
- ZEH+(ゼッチプラス)：90万円
蓄電システムを導入すると20万円／戸が加算されるなど、追加設備に応じて補助金が追加される場合があります。BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)評価書の取得が必要で、事業完了後の実績報告も必須です。
茨城県の自治体が実施する補助金情報
茨城県の各自治体が独自で実施する主な補助金制度は、以下のとおりです。
【水戸市】水戸市子育てまちなか住宅取得補助金
水戸市子育てまちなか住宅取得補助金は、まちなかの賑わい創出と子育て世帯の定住を促進する制度です。対象となるのは、主に15歳以下の子どもがいる世帯で、市が定める居住誘導区域内に住宅を取得する方です。補助額は住宅及び土地の取得費用の2%（最大30万円）が基本額で、多子世帯（対象児童2人以上）や空き地・空き家の活用、市外からの転入者には各10万円が加算されます。フラット35地域連携型との併用も可能で、住宅ローンの金利優遇も受けられます。
【ひたちなか市】ひたちなか市結婚新生活支援事業
ひたちなか市結婚新生活支援事業は、新婚世帯の新生活を応援する制度です。対象となるのは主に夫婦双方が39歳以下で、過去1年間の夫婦の合計所得が500万円未満の新婚世帯です。指定の期間内に婚姻届を提出し、受理された方が対象となります。補助額は住宅の購入費用、賃借費用、引っ越し費用の合計で最大30万円です。住宅のリフォーム費用も対象となりますが、継続申請の場合は対象外です。市税の滞納がないことや、ほかの公的制度による家賃補助を受けていないことが条件となります。
【ひたちなか市】子育て世代・三世代同居住宅取得助成金交付事業
ひたちなか市の子育て世代・三世代同居住宅取得助成金交付事業は、県外出身の子育て世帯や三世代同居・近居世帯の定住を支援する制度です。対象は夫婦ともに県外出身の子育て世帯、または市外から転入し三世代同居・近居を始める世帯です。補助額は子育て世帯20万円、三世代同居20万円、三世代近居15万円で、両方該当する場合は最大25万円となります。居住誘導区域内の住宅取得や自治会加入などが条件で、住宅取得完了から6か月以内の申請が必要です。
【筑西市】若者・子育て世代住宅取得奨励金制度
筑西市の若者・子育て世代住宅取得奨励金制度は、若者や子育て世帯の定住を支援する制度です。対象となるのは、主に40歳以下の方または18歳以下の同居の子どもがいる世帯で、筑西市内に新築または中古住宅を取得する方です。補助額は市内在住者で40万円、市外からの移住を伴う場合は50万円となります。新築・中古を問わず対象となるため、幅広い選択肢から住宅を選べます。令和6年度から実施されている制度で、マイホーム取得にかかる費用を軽減できる魅力的な支援制度です。
【桜川市】さくらがわ人生応援住宅取得助成金
桜川市のさくらがわ人生応援住宅取得助成金は、市内への定住を促進する手厚い支援制度です。対象となるのは、主に年齢が18歳以上50歳以下で、市内に300万円以上の住宅を新築または購入する方です。基本助成金は30万円で、要件に当てはまれば以下の助成金が加算されます。
- 新婚世帯や子育て世帯：50万円
- IターンまたはUターン：50万円
- 市内事業者との契約：30万円
- 景観重点地区：30万円
- 長期優良住宅：10万円
- 空き家バンク利用：10万円
ただし、国費が充当されているため、国の住宅取得関連補助制度との併用は認められない場合があります。申請前に必ず確認しましょう。
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