【第165回】静岡県で注文住宅を建てるために必要な基礎知識｜地域の特性や費用相場とは
2025.10.01
本州中央部に位置する静岡県は、富士山や浜名湖などの豊かな自然に恵まれ、首都圏からのアクセスも良好です。温暖な気候に加え、商業施設や医療機関も充実しており、暮らしやすい住環境が整っています。しかし、静岡県で注文住宅を検討している方の中には、建築費用の相場や住みやすいエリアの選び方について疑問を抱えている方も多いでしょう。
本記事では、静岡県で注文住宅を建てるために必要な基礎知識や、おすすめエリアについて詳しく解説します。補助金制度についても紹介するので、家づくりを検討中の方はぜひお役立てください。
＜ＩＮＤＥＸ＞
静岡県の基本情報
その土地特有の環境は、住み心地を大きく左右します。注文住宅の具体的な計画を建てる前に、静岡県の地域特性や交通インフラ、生活環境について詳しく把握しておきましょう。
静岡県の地域特性
本州中央部に位置する静岡県は、面積が約7,777k㎡、約349万人の人口を擁します。県北部には富士山や南アルプスといった山岳地帯が連なり、南部には太平洋に面して長大な海岸線が形成されています。中央部には静岡平野や牧之原台地などの平坦な地域が広がっており、変化に富んだ地形といえるでしょう。
気候は、山間部を除いて全体的に温暖です。春夏秋冬の季節の移り変わりを感じられる一方で、冬季は比較的温暖で乾燥した晴天の日が多く、平地部では積雪がほとんど見られない過ごしやすい環境となっています。
交通アクセス
静岡県は首都圏からのアクセスが非常に良好です。県内を東西に横断する東海道新幹線には、熱海・三島・新富士・静岡・掛川・浜松の6つの駅が配置されています。在来線については東海道本線が主要幹線となっているほか、伊豆急行線や遠州鉄道といった私鉄各線も運行しています。
道路交通では、東名高速道路と新東名高速道路が県内を並走しており、東京方面や名古屋方面に自動車で気軽にアクセス可能です。また、静鉄バスや遠鉄バスをはじめとする路線バス網も発達しており、県内各地への移動手段として広く活用されています。
治安
静岡県は全国的に見て標準的な治安レベルを保っています。特に安全性の高い地域として、松崎町や南伊豆町などの伊豆半島周辺、山間部の川根本町、住宅地では藤枝市などが挙げられます。一方、浜松市や沼津市といった都市部では利便性が高い反面、人口密度や商業活動の活発さから防犯への注意がより必要となるでしょう。
ただし、都市部でも住宅街の雰囲気や治安の良さはエリアによって異なるため、住む場所を慎重に選べば快適な暮らしが可能です。
静岡県は「静岡県防犯まちづくり条例」を制定して防犯意識の向上を図っています。具体的には防犯に関する基礎研修の実施や、地域の防犯活動を牽引するリーダーの育成などを通じて、住民参加型の安全なまちづくりを推進しています。
文化・イベント
静岡県は、1876年に浜松県と静岡県が合併して現在の静岡県が誕生しました。県内には世界文化遺産である三保の松原や、弥生時代を物語る登呂遺跡などの文化財が豊富です。
浜名湖周辺は温泉やテーマパークで賑わい、ファミリー層には野生動物を間近で観察できる富士サファリパークが人気です。毎年5月開催の浜松まつりでは、170以上の町が参加する凧揚げ合戦と、御殿屋台引き回しが見どころとなっています。
施設（買い物・医療・子育て）
静岡県内には、暮らしを支える多様な施設が充実しています。御殿場プレミアム・アウトレットやららぽーと磐田、イオンモール浜松志都呂といった大型商業施設が県内各地に展開され、幅広いショッピングニーズに対応しているのがうれしいポイントです。
医療面においては、聖隷三方原病院、静岡県立総合病院、順天堂大学医学部附属静岡病院などが代表的で、安心して暮らせる医療体制が整備されています。その他、浜名湖パルパルやうなぎパイファクトリー、トランポリンパーク浜松、伊豆ぐらんぱる公園、下田海中水族館など、子育て世帯が楽しめる施設も豊富に用意されています。
静岡県で注文住宅を建てる場合の費用相場
2024年度のフラット35利用者調査によると、静岡県で土地付き注文住宅を購入する際の費用相場は、4,919万9,000円が相場です。以下では土地と建物に分けて、注文住宅を建てる際の費用相場を解説します。
土地の費用相場
土地の取得にかかる費用相場は、全国平均が1,495万1,000円に対し、静岡県平均は1,205万円です。関東圏への交通アクセスが良好でありながら地価が高騰していない現状は、注文住宅を建てる方にとって魅力的な価格設定といえるでしょう。
建築費相場
以下では、土地の取得状況に応じて静岡県で注文住宅を建てる際の建築費相場を解説します。
土地から購入する場合（土地付き注文住宅）
以下では、静岡県の土地付き注文住宅の建築費を全国平均と比較しました。
| 敷地面積 | 延床面積 | 建築費 | |
|---|---|---|---|
| 静岡県平均 | 282.8㎡ | 111.6㎡ | 3,714万9,000円 |
| 全国平均 | 251.2㎡ | 111.1㎡ | 3,512万円 |
静岡県の建築費は全国平均を上回っています。また、敷地面積が全国平均より広い傾向が見られます。
既に土地を所有している場合（注文住宅）
土地を既に取得している場合の建築費は、以下のとおりです。
| 敷地面積 | 延床面積 | 建築費 | |
|---|---|---|---|
| 静岡県平均 | 342.8㎡ | 114.5㎡ | 3,684万4,000円 |
| 全国平均 | 329.7㎡ | 118.5㎡ | 3,932万1,000円 |
既に土地を所有している場合、静岡県では全国平均よりも費用を大幅に抑えて注文住宅建築が可能です。
注文住宅を建てるのにおすすめのエリア
ここからは、静岡県で注文住宅を建てる際におすすめのエリアを紹介します。なお、土地の平均価格は、SUUMO物件情報に掲載された2025年9月時点のデータを使用しています。
浜松市
静岡県西部に位置し、愛知県との境に接する浜松市は、人口約77万人を擁する県内最大の都市です。浜松駅には新幹線が停車し、東京駅まで最短約80分で到着します。また、富士山静岡空港や中部国際空港が近隣にあることで、国外への移動も容易です。
浜松市の治安状況は良好で、子育て世帯が安心して住める環境が整っています。自然豊かな土地柄を活かした動植物関連の観光地が数多く点在し、はままつフラワーパークでは四季折々の庭園を楽しめます。そして、「音楽の都」に向けて挑戦！として市民が音楽の豊かさや楽しさを求める街づくりを行っている都市でもあります。
また、浜名湖の存在と駿河湾に面した立地により、新鮮な海の幸を味わえるでしょう。住宅展示場については以下をご覧ください。
浜松西ハウジングセンター｜静岡県浜松市の展示場｜家サイト｜住宅展示場ガイド
【土地価格相場】
| エリア | 坪単価 |
|---|---|
| 浜松市中央区 | 23.2万円／坪 |
| 浜松市浜名区 | 13.5万円／坪 |
| 浜松市天竜区 | 7.5万円／坪 |
湖西市
静岡県最西端に位置し、浜松市に隣接する湖西市は人口約5.6万人の市です。市内を走る東海道本線は、浜松市や名古屋方面へのアクセスに便利で、特に新所原駅や鷲津駅周辺には、生活の利便性と落ち着いた住環境が両立しています。
愛知県境には湖西連峰がそびえ、浜名湖と太平洋の恵まれた自然に囲まれています。トレッキングや水上スポーツといった、自然を満喫するアクティビティが人気です。
観光地としては、道の駅潮見坂で温泉気分を味わえる足湯や、日本の工業発展に貢献した豊田佐吉の功績を学べる記念館など、多彩なスポットが市内各所に点在しています。
【土地価格相場】
15万円／坪
磐田市
静岡県西部に位置する磐田市は約16万人が住む市で、天竜川を境界として浜松市と隣接しています。東海道本線が市の中央部を横断し、東名・新東名両高速道路へのアクセスも良好です。
磐田市は「スポーツのまち」の称号で広く認知され、地域スポーツクラブの活動が活発に展開されています。Jリーグジュビロ磐田の選手による小学校訪問など、スポーツという地域の強みを教育現場に取り入れた、独自性のある取り組みが注目されています。
ららぽーと磐田をはじめとした複数の商業施設も充実しており、日常の買い物にも困りません。
【土地価格相場】
15万円／坪
袋井市
静岡県西部に位置する袋井市は人口約8.7万人の市で、若い世代の住民が多く活気ある雰囲気です。市の中心エリアには東海道本線が走っており、田園地帯が広がる南部や北部では自動車での移動が便利です。
市内では自然の豊かさを体感できる催しが数多く開催されており、春には茶摘み体験などが楽しめます。秋の祭りシーズンには各自治会の屋台が街中を練り歩き、地域ならではの特色ある祭りが繰り広げられます。
【土地価格相場】
15.7万円／坪
静岡県で注文住宅を建てるときに役立つ補助金情報
ここからは、静岡県で注文住宅を建てる際に役立つ補助金情報を紹介します。注文住宅の建築には数千万円規模の費用が必要となるため、申請できる補助金を積極的に活用しましょう。
国が実施する補助金情報
まずは、注文住宅を建てる際に利用できる国の補助金制度を3つ紹介します。いずれも住まいの省エネ性能の向上や、再生可能エネルギーの導入を支援するものです。
子育てグリーン住宅支援事業
子育てグリーン住宅支援事業は、主に子育て世帯や若者夫婦世帯を対象に、省エネルギー性能に優れた住宅の建築・購入を支援する制度です。
GX志向型住宅、長期優良住宅、ZEH水準住宅の高性能な住宅が対象となり、1戸につき40万～160万円の補助金が支給されます。既存住宅の解体を伴う建て替えの場合、長期優良住宅とZEH水準住宅については加算措置が設けられています。
交付申請の受付期間は2025年12月25日が期限となっているため、制度利用を検討している方は迅速に行動しましょう。
なお、GX志向型住宅については、2025年7月22日にて受付が終了しています。
給湯省エネ2025事業
給湯省エネ2025事業は、家庭部門の省エネルギー推進を目的として、高効率給湯器の導入費用を補助する制度です。
補助対象となるのは、性能要件を満たした高効率給湯器を設置する工事で、機器の種類に応じて1台あたり6万～16万円の基本補助額が設定されています。
申請できるのは事前に給湯省エネ事業者としての登録した専門業者のみで、個人での直接申請はできない仕組みとなっています。
戸建住宅ZEH化等支援事業
戸建住宅ZEH化等支援事業は、ZEHおよびより高性能なZEH+の普及拡大を図る補助制度です。
基本的な補助額はZEHが55万円、ZEH+が90万円となっており、蓄電池システムなどの指定設備を追加導入することで、補助金額の上積みが可能です。
交付決定を受けた後に中間段階での進捗報告と、工事完了時の実績報告書の提出が義務付けられているため、適切なスケジュール管理が求められます。
静岡県が実施する補助金情報
次に、静岡県が独自で実施する補助金情報を紹介します。
省エネ住宅新築等補助制度
省エネ住宅新築等補助制度は、国の子育てグリーン住宅支援事業の補助対象から外れた世帯に向けた支援制度です。
県内の中小工務店が手がけるZEH水準をクリアした戸建住宅が補助対象となり、基本補助額として40万円が支給されます。「しずおか優良木材等」を4㎥以上使用した場合、その使用割合と使用量に応じて追加の補助金が受けられる仕組みです。
補助予定件数は全体で80件に限られているため、利用を希望する場合は早期の申請準備が欠かせません。
浜松市が実施する補助金情報
浜松市も独自の補助金制度を整備しています。暮らしやすさで人気の浜松市で、注文住宅建築時の補助金利用を検討してみましょう。
ハマライフ住宅取得費等補助金
ハマライフ住宅取得費等補助金は、浜松市が市外からの移住促進を目的として設けた制度です。新築住宅の購入や増築工事、転居に関する諸費用が補助対象です。市外から移住後2年以内の申請が条件で、補助金額は対象経費の半額、最大100万円まで支給されます。
申請者と配偶者の年間所得合計が1,000万円以下であることや、夫婦ともに50歳未満という年齢制限などの要件があります。移住を検討中の方は、詳細な条件を確認して申請を検討してみましょう。
利便性が高く自然豊かな静岡県で理想の暮らしを叶えよう
静岡県は首都圏からのアクセスが良好で、温暖な気候と豊かな自然環境に恵まれた住みやすい地域です。注文住宅のイメージを具体化するには、住宅展示場でモデルハウスを実際に見学してみましょう。
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