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【第145回】注文住宅の太陽光発電、導入のメリット・デメリットとは!?

注文住宅を建てる際に、太陽光発電の導入を検討する家庭が増えています。光熱費の上昇が続くなか、太陽光発電は家計の負担を軽減する有効な選択肢といえます。しかし、自宅に設置できる条件や、活用できる補助金制度がわからず、太陽光発電の導入をためらっている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、太陽光発電を取り入れた注文住宅について、設置によるメリットやデメリットを解説します。活用できる補助金制度や導入する際の注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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注文住宅に設置する太陽光発電とは

太陽光発電とは、太陽光のエネルギーを電力に変換する発電システムです。環境に配慮したシステムとして注目される太陽光発電は、一般住宅への導入も可能です。

東京都では2025年4月より、新築住宅への太陽光発電設置を義務付ける制度を開始します。新制度により、太陽光発電のさらなる普及が期待されています。

太陽光発電の仕組み

太陽光発電は、太陽光のエネルギーを太陽光パネルに当てて発電する仕組みです。太陽光パネルは、工場やビル、一般住宅の屋根などに設置されます。

太陽光パネルで発電された電力は、パワーコンディショナーへと送られます。発電直後の電力は直流であり、そのままでは家庭で使用できません。パワーコンディショナーは、直流電力を一般家庭で使用できる交流電力に変換する役割を担っています。

太陽光発電に必要な設備

太陽光発電に必要な設備と役割は以下のとおりです。

  • 太陽光パネル:太陽光を受けて発電する
  • 架台:太陽光パネルを固定する
  • パワーコンディショナー:発電した直流電力を交流電力に変換する
  • 発電モニター:発電状況や電力の使用状況、エラー発生状況などを表示する
  • 専用ケーブル:各設備を接続し、電力を供給する
  • 分電盤:電力を家庭の各設備に振り分ける
  • 電気メーター:販売した電力、購入した電力を計量する

注文住宅に設置する太陽光発電の設置費用

一般的な住宅の太陽光発電には、4~6kW程度の発電容量が必要とされています。例えば5kWの太陽光発電システムの場合、120万~150万円程度を設置費用として見込んでおく必要があります。

設置費用の内訳としては、太陽光パネルや架台、パワーコンディショナーなどの設備費が全体の7~8割を占め、残りの約3割が工事費です。

ただし、上記はあくまでも目安です。設置を依頼するメーカーや屋根の形状、大きさなどの条件によって太陽光発電の設置費用は変動します。

補助金は活用できる?

太陽光発電の設置に関する補助金制度は、自治体によって異なります。例えば東京都では、「東京ゼロエミ住宅の認証制度」や「断熱・太陽光住宅普及拡大事業」、「使用済住宅用太陽光パネルリサイクル促進事業」など複数の補助金制度が用意されています。
さらに、2025年4月から太陽光発電設置義務化に関する新たな制度が始まります。大手ハウスメーカー等が供給する新築住宅等が義務対象となり、既存の住宅は対象外となっておりますが、今後ますます温室効果ガスを50%削減する「カーボンハーフ」の実現に向け、再生可能エネルギーの利用は拡大されていくでしょう。

参考)東京都「太陽光発電設置義務化に関する新たな制度が始まります」

国の制度としては、太陽光発電の単独設置に対する補助金はありません。ただし、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の基準を満たす住宅を建てる場合には、ZEH支援事業による補助を受けられる可能性があります。補助金を受けるための一定要件に当てはまるかどうか、あらかじめ確認しておきましょう。

注文住宅に太陽光発電を設置するメリット

注文住宅に太陽光発電を設置するメリットは、電気代の削減による家計の負担軽減だけではありません。太陽光発電は、環境にやさしい電力を提供し、災害時の非常用電源として活用することも可能です。以下では、注文住宅に太陽光発電を設置するメリットを解説します。

電気代の節約になる

注文住宅に太陽光発電を設置すると、電気代を節約できます。自家発電した電力で生活すると、電力会社から購入する電気を減らせるためです。

近年は電気料金の高騰が続いていますが、太陽光発電による自家消費分は電気使用量に含まれないため、家計への負担を軽減できます。日当たりのよい立地条件であれば、より大きな節約効果が見込めるでしょう。

売電収入を得られる

太陽光発電の余剰電力を電力会社に売却すると、収入が得られます。FIT制度により、10kW未満の設備であれば2024年度は1kWhあたり16円、2025年からは15円での売電が可能です。

売電収入は各家庭の売電量によって決まりますが、どれくらいの電力量を売却できるかは、自宅で消費する電気の量はもちろんのこと、太陽光発電の容量や効率、設置する場所・角度、周辺の建物との関係、気象状況なども影響するため、一概には言えません。ただし、参考として、環境省のデータによると、5kWの太陽光発電を導入している住宅が年間で発電する電力量は全国平均で6515kWhです。また、経済産業省のデータによると、そのうち余剰売電比率の平均は70%のため、売電できる年間の電力量は約4560kWhになります。こちらの数字を使って年間の売電収入を割り出すと下記の通りとなります。

【売電収入(推計)】
年間売電量 4560kWh × 売電単価 16円/kWh(2024年度の場合) = 年間売電収入 7万2960円

仮に売電単価を2024年度認定の16円、太陽光発電の容量を5kWとした場合、年間で7万2960円、FITの買取期間である10年間で72万9600円を得られることになります。

※引用:EV DAYS(東京電力エナジーパートナー)

自家消費による電気代の節約に加えて売電収入も期待されることから、太陽光発電の設置による経済的なメリットは大きいといえます。

※参考:買取価格・期間等|FIT・FIP制度|なっとく!再生可能エネルギー(資源エネルギー庁)

地球にやさしい

二酸化炭素などの大気汚染物質を排出しない太陽光発電は、地球にやさしい発電方法です。環境保護の観点から脱炭素化が進むなか、太陽光発電は無尽蔵な再生可能エネルギーとして注目されています。

さらに、一般家庭でも設置しやすい設備として、太陽光発電は他の再生可能エネルギーと比べて普及が進んでいます。

災害対策になる

太陽光発電を設置していれば、災害により停電した時でも電力確保が可能です。太陽光パネルやパワーコンディショナーなどの設備が無事であれば、太陽光で発電した電力を非常用電源として活用できます。

ただし、太陽光発電は天候に左右される発電方法です。悪天候時や夜間は発電できないため、より確実な災害対策として、蓄電池との併用を検討するとよいでしょう。

注文住宅に太陽光発電を設置するデメリット

太陽光発電を設置する際は、初期費用や維持費がかかります。また、発電効率を高めるには、設置場所を慎重に検討しなくてはいけません。ここからは、注文住宅に太陽光発電を設置するデメリットを解説します。

初期費用がかかる

太陽光発電の設置には、一般的に100万円を超える高額な初期費用が必要です。設置するパネルの数が増えるほど費用は上昇します。

ただし、前述した補助金と自家発電による電気代の削減や売電収入が見込めるため、長期的な視点で考えると、太陽光発電の設置は費用対効果の高い設備といえるでしょう。

メンテナンスが必要

太陽光発電の性能を維持するためには、定期的な点検や設備の交換にかかるメンテナンス費用が必要です。屋根の上に設置されている太陽光発電は自己点検が難しく、経年劣化や故障の発見が遅れる可能性もあります。

長期にわたって効率的に太陽光発電を活用するためには、設置前に業者のメンテナンス内容や、アフターサービスの詳細を確認することがポイントです。

十分な発電量が得られない可能性がある

太陽光発電は天候や日射量によって発電効率が左右されるため、想定通りの発電量を得られない場合があります。

十分な発電量を得るには、注文住宅の設計段階から発電効率を考慮する必要があります。住宅の周囲に日陰をつくる建物や樹木がある立地を避け、太陽光が十分に当たる屋根の形状を検討しましょう。

後付けの場合、設置できないこともある

既存の住宅に太陽光発電を設置しようとしても、屋根の形状や方角によっては難しい場合があります。また、十分な発電量を得られない可能性があるばかりか、パネルからの反射光が近隣住宅に影響を及ぼすケースも考えられます。

将来的に設置を検討している場合は、家づくりの段階から太陽光発電に適した屋根をデザインしておくことがおすすめです。

注文住宅に太陽光発電を設置するときの注意点

太陽光発電を設置する際は、長期的な視点での費用対効果の検討が必要です。また、蓄電池を導入するか、どの設置業者に依頼するかといった問題も、今後の生活を左右するポイントといえます。以下では、注文住宅に太陽光発電を導入する際の注意点を解説します。

入念にシミュレーションを行う

太陽光発電を設置する際は、事前の入念なシミュレーションが重要です。発電量の見込みや設置費用の回収期間、売電収入の見込みなど、定量的な検討を通じて設置の可否を判断しましょう。
家庭における電力の消費量や、消費量が増える時間帯などを考慮すると、実情に合った規模や設備を選定できます。

蓄電池を併用する

太陽光発電の効果を大きく引き出すには、蓄電池の併用がおすすめです。前述のとおり蓄電池があれば、災害による停電時の非常用電源として太陽光発電を活用しやすくなります。

他にも、昼間に発電した余剰電力を蓄電池に貯めておいて夜間に使用したり、割安な深夜電力を蓄えて日中に活用したりすると、電力を効率的に利用できます。

複数社比較して信頼できる業者に設置を依頼する

太陽光発電の設置業者を選ぶ際は、相場を把握するために複数社から見積もりを取得しましょう。価格だけではなく、アフターサービスの内容や充実度なども確認が必要です。適切な対応がされない可能性があるため、実績の少ない業者や施工事例を公開していない業者は、避けた方が無難です。

まとめ

家づくりを検討の際は太陽光発電の設置も併せて検討しよう

注文住宅に太陽光発電を備えておくと、電気代の削減や環境負荷の低減、災害時の非常用電源確保など、実用的なメリットが期待できます。設置を検討する際は入念なシミュレーションを行い、家庭に最適なシステムを選択しましょう。

家サイトの住宅展示場では、太陽光発電や家庭用蓄電池を設置したモデルハウスをご覧いただけます。経験豊富なスタッフが理想の家づくりをサポートしますので、お近くの展示場へぜひお越しください。

太陽光発電のあるモデルハウスはこちらから

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監修・情報提供:福本 剛志 (設計事務所 アクア株式会社/二級建築士)
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本記事はTrail(株)が記事提供しています。
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