【第138回】【年収1000万円】住宅ローン借入額の目安とポイント
2024.09.11
住宅を購入する際、多くの方が住宅ローンを利用します。年収1,000万円の方の場合、いくらくらいの金額を借り入れるのが適切なのでしょうか。一般的に年収1,000万円世帯は高所得層と呼ばれています。しかし、将来のリスクなどをきちんと考慮して借入総額・期間を決めないと、返済が困難になる恐れもあるでしょう。
この記事では、年収1,000万円の方が借入可能な住宅ローンの金額や、返済可能な借入額の目安、高額なローンを組んだ場合のリスク、失敗しないための注意点などを解説します。注文住宅や一戸建てを検討している年収1,000万円の方は、ぜひ最後までご覧になって参考にしてみてください。
<INDEX>
- 年収1000万円が借入可能な住宅ローン
- 年収1000万円が無理なく返済可能な借入額
- 年収1000万円で住宅ローンを組む際の頭金の目安
- 年収1000万円の場合、住宅ローンを組んで考えられるリスク
- 年収1000万円で住宅ローンを組む際の注意点
- まとめ
年収1000万円が借入可能な住宅ローン
住宅ローンは、収入によって借入可能な金額が変わります。年収1,000万円の場合、いくらくらいの住宅ローンを組めるのでしょうか。以下では、年収1,000万円の借入上限額や借入額の目安について解説します。
借入上限額
住宅ローンは収入によって借入できる金額がわかり、借入上限額は金融機関によって異なります。一般的な目安としては、年収1,000万円の場合、8,000万円程度が借入上限額です。民間の住宅ローンでは、1億円程度まで借入できるケースもあります。
ただし、実際の借入可能額は年収だけで決まるわけではありません。ほかにも、物件の担保価値や頭金、金利、申込者の年齢などの諸条件によって変わるため、詳細は借入時に金融機関に相談してみてください。
借入額の目安
借入額は5,000万~8,000万円程度が一つの目安です。上限まで借りると返済が苦しくなる可能性もあるため、住宅ローンを組む際は、無理なく返せる金額に設定することをおすすめします。
一般的な目安は年収の5~8倍とされ、年収1,000万であれば5,000万~8,000万円程度が借入額の範囲といえるでしょう。「2022年度 フラット35利用者調査」によると、注文住宅融資利用者の年収倍率は、全国平均で6.9倍となっており、年収の7倍程度を借り入れる方が多い傾向にあります。
年収1000万円が無理なく返済可能な借入額
一般的な借入上限額がわかっても、上限ギリギリで借り入れすることが適切とは限りません。借入額が上がるほど月々の返済も多くなるため、上限まで借り入れた場合は、生活への負担も大きくなってしまいます。
年収1,000万円の場合、無理なく返済できる借入金額は5,000万~6,000万円程度が目安です。返済年数にもよりますが、月々の返済額は13万~16万円程度となり、生活を圧迫しない範囲に収まります。
さらに、住宅ローンの借入額を決める際は、以下のような数値を指標の一つとして考えると良いでしょう。
- 年収倍率:物件価格が年収の何倍にあたるかを表す指標
- 返済負担率:収入に占める返済額の割合
目安となる金額以上の物件を購入する場合は、頭金を多めに入れるなど調整が必要です。
年収1000万円で住宅ローンを組む際の頭金の目安
一般的に住宅ローンを組む際の頭金は、物件購入代金の10~20%程度が目安です。「2022年度 フラット35利用者調査」によると、注文住宅融資利用者の手持金(頭金)は全国平均で17.3%となっています。実際に注文住宅を購入している方の多くが、目安の範囲内で頭金を用意していることがわかります。
仮に5,000万円程度の住宅を購入するのであれば、500万~1,000万円程度の頭金を準備しておくと良いでしょう。
頭金を出すことで得られるメリット
頭金なしで住宅ローンを組むことも可能ではあるものの、頭金を用意しておくと以下のように多くのメリットがあります。
- 借入総額が減る:頭金の分だけ借入額を減らせるため、住宅ローンの審査に通りやすくなる
- 返済期間が短くなる:返済総額を減らせるため、返済期間を短縮して早めに住宅ローンを完済できる
- 毎月の返済額が減る:頭金によって少ない借入額で済ませられれば、月々の返済金額も減らせて生活に余裕が生まれる
- 金利が下がる可能性がある:住宅ローンによっては、物件費用に対する借入額の割合である融資率が低下すると、より低い金利で借入可能になる場合がある
以上のようなメリットから、住宅ローンを組む際は、できるだけ頭金を準備しておくと良いでしょう。ただし、不測の事態に備えられるように、手持ち資金に余力を持たせておく必要があります。頭金を多く出して手持ち資金がなくなることのないよう、計画的に資金管理を行いましょう。
年収1000万円の場合、住宅ローンを組んで考えられるリスク
年収1,000万円は一般的には高収入層にあたります。しかし、高収入世帯であっても、以下のようにさまざまな要因から、住宅ローンの支払いが難しくなるケースは少なくありません。
- 収入が減少した
- 家計の支出が増えた
- 借入上限ギリギリまで借りた
以下では、住宅ローンの返済が厳しくなるケースとして考えられるリスクについて解説します。
収入が減少した
住宅ローン返済が難しくなる大きな要因として考えられるのが、病気になったりケガをしたりして、一時的に仕事ができず収入が減るケースです。また、出産や育児、介護などが必要な場合も収入が減る可能性があります。
特に、夫婦共働きの収入で1,000万円になっている場合は注意が必要です。借入時の収入がずっと続くとは限らないため、収入減少も考慮しながら借入額を検討し、余裕を持った返済計画を立てるようにしましょう。
家計の支出が増えた
家計の支出はいつまでも同じではなく、ライフステージの変化により増えていく可能性があります。例えば、子どもが成長するに伴って、教育費の負担が大きくなっていきます。子育てにかかる費用はあらかじめ準備しておくか、工面しながら生活していけるようにしなければ、住宅ローンと支出のバランスが崩れてしまう恐れがあります。
子どもの養育費は、一般的に大学卒業までで、およそ1,000万~2,000万円です。住宅ローンを組む際は、借入時とは状況が変化する可能性を認識し、将来の支出も考慮して返済計画を立てるようにしましょう。
借入上限ギリギリまで借りた
住宅ローンの借入可能額は、収入に対してどれくらい借りられるのか上限を表している金額であって、無理なく返済できる金額ではありません。上限ギリギリまで借り入れをしてしまうと、生活費に余裕がなくなる可能性があります。万が一病気やケガをしてしまった場合や、子どもの教育費として出費が必要になった場合、一時的に収入が下がってしまった場合など、不測の事態に備えられない恐れもあるでしょう。
また、ペアローンを組んで上限ギリギリまで借りた場合は、片方の収入や子育てなど、ライフステージの変化によって返済計画に大きな影響が出る可能性があります。将来どのような事態にも対応できるよう、借りすぎに注意して無理のない範囲の借入額を設定するのがおすすめです。
年収1000万円で住宅ローンを組む際の注意点
年収1,000万円の場合でも、借入額や収入の変化によっては住宅ローンの返済に苦しむケースもあります。年収1,000万円で住宅ローンを組む際には、次の4つに注意しましょう。
- 毎月の支出額を把握しておく
- 将来的なライフプランまで考える
- 返済負担率を年収の20%以下にする
- 定年までに完済できる金額を目安に借り入れする
年収1,000万円で住宅ローンを組む際に失敗しないための注意点について、以下で詳しく解説します。
毎月の支出額を把握しておく
毎月の支出額をしっかり把握しておけば、返済計画を立てやすくなります。毎月必要になる出費の総額や、貯蓄をいくらするのかを考えて逆算していくと、月々の返済に充てられる金額がわかり、適切な借入総額や期間の設定が可能です。
月によって急な出費で出ていく額が増えたり、将来的に今より支出総額が多くなったりする可能性もあるため、返済金額を計算する際は、収入から支出分を差し引いて余った金額に余裕を持たせておくと良いでしょう。
将来的なライフプランまで考える
住宅ローンを組む前には、将来のライフプランについてしっかり考えておくことをおすすめします。住宅ローンの返済は長期にわたるため、仕事での転職・転勤の可能性や結婚、子育てにおける産休・育休での収入減少、子どもの成長過程でかかる支出など、現在と収入や生活スタイルが大きく変わる場合があります。
将来のさまざまな事態に備えてシミュレーションを行い、ライフスタイルが変化しても問題ないようなローンの組み方であれば、リスクを回避しやすくなるでしょう。
返済負担率を年収の20%以下にする
住宅ローンを組む際は、自分にとって無理なく返済できる金額がいくらなのかをしっかり把握しておくことが大切です。年収1,000万円の場合、比較的家計にも余裕があるため、住宅以外にもお金をかけているケースが少なくありません。
不測の事態に備えられるよう、返済負担率を年収の20%以内に収めるようにしておくと、ほかの支払いにもある程度余裕を持たせられます。年収1,000万円の場合の手取りが800万円だとすると、ローン返済は年間160万円以内が適正な比率といえるでしょう。
定年までに完済できる金額を目安に借り入れする
住宅ローンを組む際は、定年までに完済できる金額かどうかも検討しましょう。多くの場合、定年後の収入は主に年金のみになります。ローンの支払いは、働いているうちに終了できるような借入金額・期間を設定するのがおすすめです。
年金からローンを返済していくと、老後の生活の大きな負担になります。特に、十分な資産がない場合、月十数万円の支出はかなり重いといえるでしょう。豊かな老後の生活を送るため、現役時代に返済できる金額でローンを組むのも一つの方法です。
まとめ
年収1000万円の場合でも将来を見越して住宅ローンの組み方を検討しよう
年収1,000万円の方の場合、住宅ローンを組む際の借入上限額は8,000万円程度ですが、一般的に返済可能な額としては、5,000万~6,000万円程度が目安です。年収1,000万円は高所得層にあたるものの、将来の収入減少や支出増加などで、返済が難しくなるケースもないとはいえません。住宅ローンを組む際は、将来のライフスタイルを考え、返済負担率を抑えるなど、無理なく返せる借入総額・期間を設定しましょう。
参考:その他の年収区分に関する住宅ローンコラムは下記をご確認下さい。
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監修・情報提供:馬場 愛莉(2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級))
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本記事はTrail(株)が記事提供しています。
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