【第130回】注文住宅の坪単価。知っておくべき基本とは?平均価格や注意点も解説!
2024.05.17
注文住宅を建てようと情報収集をしていると「あのハウスメーカーの坪単価は100万円」「この工務店なら70万円」といった話をよく聞きます。住宅会社を選ぶ際、この「坪単価」と言われるもので自分たちにとって最適な会社を比較することができます。しかし坪単価は、ハウスメーカーや工務店によって定義が異なることも事実。そこでこの記事では、坪単価の基本的な考え方をはじめ、坪単価で住宅会社を選ぶ際に押さえておきたいポイントをご紹介します。注文住宅の建築費用の目安について知ることができますよ。
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注文住宅の坪単価とは?
注文住宅の「坪単価」とは、1坪あたりの建築費用のことを指します。注文住宅の価格を比較評価する際に重要な指標となります。坪単価を把握することで、家づくりの予算計画を立てやすくなり、建築会社選びにも役立ちます。
坪単価の算出方法
坪単価は、建物の延床面積を1坪(約3.3㎡)で割って算出される数値です。具体的な計算方法は、建築費用を延床面積で割り、その結果を1坪分に換算します。例えば、建築費用が3,000万円で、延床面積が30坪の場合、坪単価は3,000万円 ÷ 30坪 = 100万円となります。
しかし、坪単価を算出する際には、ハウスメーカーや工務店ごとに含まれる項目が異なるため、どの費用が含まれているかを確認することが大切になってきます。例えば、Aハウスメーカーの坪単価には設計費用や申請費用が含まれている一方で、B工務店では建物の本体工事費のみといった場合もあります。
また坪単価は、使用する材料や工法によっても変動します。木造住宅と鉄骨造住宅では、同じ広さであっても坪単価が大きく異なることがあります。そのため、見積りを比較する際には、坪単価だけでなく提供されるサービス内容や建築の質も考慮する必要があります。
注文住宅の坪単価を見るときの注意点
実際に注文住宅の計画を進める際に、坪単価を参考にするときは次の点に注意しましょう。
単純に坪単価×広さではない
注文住宅を検討する多くの方が、坪単価を用いて「坪単価×広さ」といったように住宅の費用を計算されるかもしれません。しかし、いざ見積を依頼してみると、実際の建築費用とは異なる場合が多くみられます。なぜなら、坪単価というのはあくまで基本的な本体工事における費用を示すものであり、設計による変更や追加工事、外構工事などが含まれていないからです。これらを含めた総費用を把握するためには、坪単価だけではなく、別途必要となる費用も考慮する必要があります。
基準や含まれている内容は一律ではない
坪単価は、ハウスメーカーや工務店によって算出方法や含まれる項目が異なるため、比較をする際には注意が必要です。一部の住宅では高級な内装や特殊な建材を使用している場合があり、これが坪単価を押し上げる要因になることがあります。また、省エネ設備や最新の設備が含まれているかどうかも坪単価に影響を及ぼし、それらの内容を詳細まで比較検討することが重要です。
同じ住宅会社でも坪単価は変動する
同一の住宅会社であっても、時期や地域、建設する住宅のタイプによって坪単価は変動します。例えば、材料費の高騰や人件費の変更、地域による建築基準の違いなどによって、価格が上下することが一般的です。そのため、見積もりを取る際は同じ会社でも異なるプランや時期、地域で複数の見積もりを比較することが望ましいです。
これらのポイントを踏まえることで、注文住宅における「坪単価」の本当の意味でのコストをより正確に理解し、適切な住宅選びを行うことができるようになります。
注文住宅の坪単価の平均
注文住宅の坪単価の相場を把握しておくと、住宅会社や物件を検討する際の判断材料として役に立つでしょう。ここでは、2022年度のフラット35利用者調査から坪単価の平均を見ていきましょう。
全国平均坪単価は約100万円で、地域ごとに若干の変動が見られます。
建築費用 | 住宅面積 (㎡/坪) |
坪単価 | |
---|---|---|---|
全国 | 3,715万円 | 122.8㎡/37.21坪 | 99.83万円 |
首都圏 | 4,015万円 | 123.4㎡/37.39坪 | 107.38万円 |
近畿圏 | 3,990万円 | 126.1㎡/38.21坪 | 104.42万円 |
東海圏 | 3,788万円 | 125.2㎡/37.93坪 | 99.86万円 |
上記は、平均建築費用を平均住宅面積で割って算出したものです。
参考:住宅金融支援機構2022年度「フラット35利用者調査」2023年8月4日更新
インターネット上の情報では平均的なハウスメーカー・工務店の坪単価は70万円前後と言われることが多いため、かなり高いと感じる方も多いかもしれません。このデータの建設費には本体工事費のほか付帯工事費や諸経費も含まれているため、建物本体のみの坪単価より高くなっています。
まとめ
坪単価はどうやって活用するべき?
「坪単価」は、注文住宅を検討する際に非常に重要な指標となりますが、これをどのように活用すればよいのでしょうか。まず、坪単価を用いて様々なハウスメーカーや工務店の提案を比較することができます。しかし、坪単価だけで一概に判断するのではなく、その見積にある内容を深く理解することが重要です。
坪単価を活用する際には、まず、その数値がどのように算出されたのかを確認してください。全ての建築費用が含まれているのか、あるいは工事費のみなのか、内容をしっかりと見極めることが大切です。また、同じ坪単価でも、使用される材料の品質や建築の技術などによっても、最終的な住宅の質が異なることがあります。
さらに、各企業の坪単価を比較する際は、単純に数字を比べるだけではなく、その住宅が提供する価値を考慮に入れることが望ましいです。例えば、エネルギー効率の高い設備が導入されているか、メンテナンスのしやすさはどうか、アフターサービスの充実度など、長期的な観点から評価することも必要です。
まずは気軽に「家サイト」を活用し、家づくりについてハウスメーカーへの相談や情報収集をしてみるのもおすすめです。さらに住宅展示場では、家づくりのご要望や予算を比較して、最適な住宅会社を探すこともできます。
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監修・情報提供:福本 剛志 (設計事務所 アクア株式会社/二級建築士)
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