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【第127回】【2024年の住宅購入】材料費の高騰について|原因や今後の動向

近年は建築資材の高騰が続いており、今後も高騰は続くのか気になっている方も多いでしょう。建築資材の高騰は日本だけでなく世界的に起きており、価格高騰にはさまざまな要因が絡んでいます。

そこで本記事では、建築資材の高騰が続く原因や今後の動向、価格高騰への対策を紹介します。価格高騰が続いている中、住宅購入を検討している方はぜひ参考にしてください。



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【建築資材】材料費高騰の主な原因

住宅を建てるには多くの建築資材が必要です。建築資材は近年高騰しており、住宅購入費に大きく影響を与えています。なかでも生コンクリートやコンクリート製品は、近年大きく値上がりしています。ここでは、住宅を建てる際の材料費高騰の原因を見ていきましょう。

ウッドショック

ウッドショックとは、下記のようなことが原因で起きた木材の価格高騰です。

  • ・アメリカや中国の住宅需要拡大
  • ・木材を輸出する際のコンテナ不足
  • ・コロナ禍の移動制限など

国内では2021年3月から表面化していきました。住宅業界は特にウッドショックの影響が大きく、大手住宅メーカーは坪単価数万円の値上げを発表しました。ところが、ウッドショックで高騰していた木材関連資材は、2022年に下落傾向に転じ、2023年にはウッドショックは終了したとの見方をするメディアも増えてきました。ただし、輸入材にのみ着目すると、まだ価格が元通りになっているとはいえません。

アイアンショック

アイアンショックとは、鉄筋や鉄骨などの鋼材価格が高騰する現象です。アイアンショックの原因は、主に鉄鉱石の需要が供給を上回ったからです。日本は、鉄筋や鉄鉱は輸入に頼らざるを得ない状況のため、世界の影響を大きく受けます。

ウッドショックと同様に、アメリカ・中国の住宅需要の増加も影響しています。2024年3月現在、鉄筋や鉄骨の価格は上昇傾向ではなくなっているものの、世界的に見てまだ価格が高く、円安傾向であることも影響して価格は安くなっていません。

原油価格の高騰

コロナ禍からの経済回復に伴う原油の需要増加や、一部の産油国の生産停滞などが原因で、原油価格が高騰しています。プラスチックやゴム、塗料のような建築資材は材料に原油が使用されているため、建築費にも影響を与えるでしょう。また、原油価格高騰によりガソリン代が高くなると、資材の運搬コストも高騰し、結果的に建築資材に影響します。原材料の高騰が続く生コンクリートやコンクリート製品などは、輸送コストの高騰も値上げの原因の一つです。

住宅設備の不足

2021年夏から2022年春頃にかけて、給湯器などの住宅設備の供給不足が起き、多くのメーカーで納期遅延が発生していました。新型コロナウイルス感染症の影響で東南アジアの工場の稼働率が減少し、半導体不足が深刻化したことが原因です。

給湯器以外にも、トイレやシステムキッチン、ユニットバスなども影響を受けていました。なお、2024年3月現在は、給湯器の在庫不足は解消しつつあります。

ロシア・ウクライナ戦争

ロシア・ウクライナ戦争をきっかけに、ロシアに対する制裁措置を日本政府が発動し、38品目に関してロシアから輸入できなくなりました。輸入禁止になった品目の中には、安価で使い勝手の良いロシア産の木材も含まれていたことが原因の1つです。

ロシア産木材が輸入できなくなって木材の需給バランスが崩れ、他国からの輸入に切り替えが行われたものの、世界的なウッドショックにより先行き不透明の状態が続いていました。2024年3月現在、依然として輸入木材の価格は高い状況が続いています。

ガソリン代・電気代等の高騰

先述しましたが、原油価格の高騰によりガソリン代が高くなると、建築資材の運搬にかかる費用が高くなり建築費に影響します。また、建築資材や設備を生産する工場では電気を使用しているため、電気代の高騰も要因の1つです。

電気料金の値上げは、天然ガスなどの燃料価格高騰や国内の電力供給不足などが原因です。なかでも天然ガスは原油価格の変動と連動しているため、ガソリン代が高くなると電気代も高くなる傾向があり、建築にかかる費用も高くなります。

円安

2022年に円安が加速し、2024年現在も円安が続いています。円安になると資材を輸入する際の費用が高騰し、仕入れ価格が高くなります。日本国内の建築資材の多くは輸入に頼っているため、円安の影響を受けざるを得ません。円安が進む主な原因は、日本とアメリカの金利の差です。

両国ともに金融緩和政策を行ってきましたが、2022年3月にアメリカが金融引き締めに転換して金利差が開いたことで、投資家の多くが円を売ってドルを買う動きをするようになりました。2024年3月も依然として円安は続いており、建築資材の高騰に影響を与えています。

2024年問題

2024年問題とは、2024年4月1日から長時間労働の上限が規制されることです。物流業界や建設業界などが、労働規制の対象です。労働時間が規制されると工期の延長や人員増加などにより、追加のコストが発生します。

また、人材不足の建築業界が職人を確保するには、福利厚生などの環境整備もしなければなりません。結果として、建築全体にかかる費用が上昇します。

住宅ローン控除の改正

2024年以降は住宅ローン控除の制度改正によって、住宅ローン減税を受けるには高性能な省エネ性能の家を建てなければならなくなりました。高性能な省エネ住宅は、長期優良住宅やZEH水準省エネ住宅の基準をクリアした家であり、一般的な住宅よりも建築コストは高くなります。

これから家を建築する場合は、住宅ローン減税を受けるために自ずと建築コストが高くなるでしょう。ただし、高性能な省エネ住宅は建築費用が高くなるものの、光熱費やメンテナンス費用を抑えられるなどのメリットがあります。

【建築資材】材料費の高騰について、今後の動向

2021年から建築資材の高騰が続き、2022年からは世界的なインフレの影響を受けて、2024年に入ってからも建築資材の価格は上昇傾向にあります。建築資材の高騰は世界的な課題ですが、日本では2024年問題や脱炭素化への投資、人手の確保や育成などの対応も相まって事態はさらに深刻化するでしょう。建築資材の価格高騰にはさまざまな原因が絡み合っているため、すぐに解決しません。

国土交通省発表の主要建設資材需給・価格動向調査によると全国 建築資材 需給は2021~2022年と比較すると落ち着いており、2023年の価格動向は“やや上昇”または、横ばいと報告されています。

参照:主要建設資材需給・価格動向調査結果(令和6年3月1~5日現在)
国土交通省 https://www.mlit.go.jp/toukeijouhou/chojou/mon.htm

しかしながら、世界的なインフレにより、2024年以降も価格高騰は続くと予想されます。建築事業者は建築資材の高騰に対して、仕様決定や発注をできるだけ早めに行うだけでなく、資材調達先の多様化、国産資材の活用などによって対策を講じています。

住宅購入における材料費の高騰についての対策

建築資材の価格高騰は住宅を購入する際にも影響し、今後も続く可能性があります。住宅購入に悩んでいる場合は以下2つのポイントを押さえておくと、購入費用を少しでも安く抑えられるでしょう。

早めの決断をする

前述したように、建築資材の価格高騰にはさまざまな原因が絡み合っているため、原因の1つが解決したからといって、すぐに価格が下がるわけではありません。昨年は横ばいからやや上昇であった価格が世界的なインフレにより、今後さらに価格が高くなる可能性もあります。住宅購入を検討している方はできるだけ早めに購入を決断したほうが良いでしょう。

補助金制度を活用する

住宅購入の補助金には、国が推進するZEH住宅の新築やリフォームに利用できる制度が複数あります。高性能な省エネ住宅は快適な暮らしを実現できるだけでなく、長期的に見ると維持費やメンテナンス費用を節約できる可能性が高いです。そのため、住宅購入時の費用だけでなく長期的な費用対効果を鑑みて、補助金制度を活用して少しでもお得に家を建てることをおすすめします。

参考:【第125回】【2024年】家づくりで活用できる住宅補助金・減税制度まとめ

まとめ

材料費の高騰が続く中でも最善の対策を取って住宅購入を検討しよう

2021年から建築資材の価格は上昇傾向にあり、2024年に入ってからも続くと考えられます。建築資材の価格高騰は簡単に解決できる問題ではありません。第123回のコラム※で記載した住宅投資の観点から住宅購入を検討している方は、さらに価格が高くなる前に購入を決断することが大切です。

※『【第123回】住宅投資とは?ニューノーマル時代に備えて知っておきたい基礎知識』

補助金などをうまく活用し、できるだけ初期費用を安く抑えましょう。価格高騰が続いている中でも自分にとって最善の方法で住宅を購入したい方は、ぜひ「家サイト」から住宅展示場を探してみてください。家づくりのプロフェッショナルが常駐するモデルハウスにて相談することが近道ではないでしょうか。

 

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監修・情報提供:馬場 愛莉 (2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級))
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本記事はTrail(株)が記事提供しています。
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