【第114回】 あなたの年収ではいくらくらい?年収別に住宅ローンの目安・平均額をご紹介!
2023.09.15
憧れのマイホームを購入する際、多くの方が利用する住宅ローン。高額な買い物だけに、自分の年収だといくらくらいまで借りられるのか、頭金はどれくらい用意すれば良いのか、などさまざまな悩みもつきものです。
そこで、この記事では、新築住宅を考えている方に向けて、住宅ローンの借入額の目安や年収に応じた借入可能額のシミュレーション、返済開始時期、返済方法など、住宅ローンと年収について解説していきます。住宅ローンを組みたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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住宅ローンは年収の5倍が目安ってほんと?
かつては「マイホームの値段は年収の5倍まで」といわれていました。しかし、実は5倍の数字には明確な根拠がありませんが、最も重要なのは、年収と住宅購入費のバランスについて考える際、より現実的な目安になるのは返済負担率です。
返済負担率とは、年収に占める返済額の割合を表す数値で、「年間のローン返済額÷年収×100」を使って計算されます。数字が小さいほど余裕をもった返済計画が立てられ、一般的に安全ラインとされているのは年収の20%~25%程度です。つまり、現実的に購入可能なマイホームの年間の住宅ローン返済額は年収の5分の1から4分の1くらいといえるでしょう。
しかし、「返せる金額」と「借りられる金額」は違い、返済負担率はあくまでも「返せる金額」として安全な基準を示す数字です。そのため、実際に住宅ローンを組む際は、返済負担率の目安を越えて借り入れできる場合もあります。
住宅ローンの借入平均額は平均3,772万円
住宅を建てる際、ほかの人がどれくらいの金額でローンを組んでいるかは借入額を考えるうえで参考になるデータです。国土交通省の「令和4年度 住宅市場動向調査報告書」をみると、住宅を購入する際の購入金額は5,436万〜2,941万円で、借入平均額は3,772万~1,492万円となっています。
購入した住宅の種類別での購入資金、借入平均額、自己資金比率の割合は次の通りです。
購入住宅の種類 | 購入資金 | 平均借入額 | 自己資本比率 |
---|---|---|---|
新築注文住宅 | 5,436万円 | 3,772万円 | 30.6% |
分譲戸建住宅 | 4,214万円 | 3,054万円 | 27.5% |
分譲集合住宅 | 5,279万円 | 3,020万円 | 42.8% |
中古戸建住宅 | 3,340万円 | 1,908万円 | 42.9% |
中古集合住宅 | 2,941万円 | 1,492万円 | 49.3% |
新築でマイホームを建てる場合の予算では、購入資金が5,500万~4,200万円で、借入額3,800万~3,000万円程度が目安になります。
自己資金は頭金とも呼ばれ、住宅の購入資金のうち、ローンで借り入れをせず自分で用意するお金です。用意する頭金が多いほど借入する住宅ローンは少なくて済みます。しかし、子どもの教育費や急な出費への備えなども必要なため、全てのお金を住宅購入に当てるのは避けましょう。
【年収別】住宅ローンの借り入れ可能額シミュレーション
ここまで、住宅ローン借入額の目安や平均などをみてきましたが、実際にローンを組む場合は年収によって借入可能な金額が変わるため、平均だけではわかりにくいのも事実です。
そこで、ここからは、年収別に住宅ローンの借入可能額の目安をシミュレーションしていきます。
今回のシミュレーションで用いる設定は以下の通りです。
・金利は年1.86%の固定金利
・返済期間は35年
・ボーナス返済はなし
・返済負担率は20~25%
・毎月の返済額は金利込みの金額
それぞれの年収について詳しくみていきましょう。
年収300万円
年収300万円の場合のシミュレーション結果は、次の通りです。
借入可能額 | 1,943万円 |
---|---|
返済負担率 | 25% |
毎月の返済額 | 6万3,000円 |
年間返済額 | 75万6,000円 |
総返済額 | 2,646万円 |
自己資金比率を新築注文住宅の平均である30%とすると、2,775万円程度までの住宅を購入できる計算になります。毎月の返済額をもう少し抑えたい場合には、返済負担率を20%にすると、毎月の返済額は5万円となり、借入額は1,542万円です。
年収400万円
年収400万円の場合のシミュレーション結果は、次の通りです。
借入可能額 | 2,560万円 |
---|---|
返済負担率 | 25% |
毎月の返済額 | 8万3,000円 |
年間返済額 | 100万円 |
総返済額 | 3,485万円 |
自己資金比率30%で計算すると、3,657万円程度の住宅まで購入可能になります。返済負担率を20%にした場合の借入可能額は、2,067万円で毎月の返済額は6万7,000円です。
年収500万円
年収500万円の場合のシミュレーション結果は、次の通りです。
借入可能額 | 3,208万円 |
---|---|
返済負担率 | 25% |
毎月の返済額 | 10万4,000円 |
年間返済額 | 125万円 |
総返済額 | 4,368万円 |
自己資金比率を30%とすると、購入できる住宅価格の目安は4,582万円です。しかし、毎月の返済額が10万円を超えているため、もう少し負担を抑えたい場合は、返済負担率を20%にすると借入可能額は2,560万円で、毎月の返済額は8万3,000円になります。
年収600万円
年収600万円の場合のシミュレーション結果は、次の通りです。
借入可能額 | 3,856万円 |
---|---|
返済負担率 | 25% |
毎月の返済額 | 12万5,000円 |
年間返済額 | 150万円 |
総返済額 | 5,250万円 |
自己資金比率30%の場合、5,508万程度の住宅まで購入できる計算です。ただ、毎月の返済額が12万円を越えており、負担が大きいと考えるなら、返済負担率を20%にした場合の借入可能額は3,085万円程度で、毎月の返済は10万円となります。
年収700万円
年収700万円の場合のシミュレーション結果は、次の通りです。
借入可能額 | 4,504万円 |
---|---|
返済負担率 | 25% |
毎月の返済額 | 14万6,000円 |
年間返済額 | 175万円 |
総返済額 | 6,132万円 |
自己資金比率30%とすると、6,434万円程度までの住宅が建てられます。しかし、毎月の返済額が15万円近くになってしまうため、もう少し余裕が欲しい場合は、返済負担率20%とすると借入可能額は3,599万円で、毎月の返済額は11万6,000円程度になります。
住宅ローンを組む際に知っておきたいこと
住宅ローンを借りる際には、返済負担率や借入可能額のほかにも、知っておかなければならない知識がたくさんあります。続いては、住宅ローンで押さえておきたいポイントについて詳しくみていきましょう。
住宅を購入する際にかかる費用の内訳
住宅を購入する際に、必要となる主な費用の内訳は以下の通りです。
■頭金
自己資金。住宅の購入資金のうち、ローン借り入れを行わず、自分で用意するお金。
■住宅ローン
住宅購入のため借入する資金。住宅の購入費用から頭金を引いた額が住宅ローンの借入金額です。また、住宅ローンとして多く利用されているフラット35では、2023年4月より省エネ基準への適合が必要になりました。現在は、住宅が一定の省エネ性能をもっていないとフラット35を利用できません。今後、住宅ローンの借入を検討している方は、住宅の省エネ性能にも注意してください。
■諸費用
登記手続きを依頼する司法書士への手数料、ローンの保証料、不動産仲介手数料、火災保険料など、住宅購入にかかる手数料や税金などの諸費用。
■税金
土地や建物を購入する際にかかる不動産取得税や不動産登記にかかる登録免許税のほか、家を所有してからは固定資産税の支払いも必要になります。
返済開始時期について
住宅ローンでは、家の引き渡し日が融資実行日で、借入を行う金融機関やローンのプランによって異なるものの、翌月または翌々月から返済がスタートするケースが多くなっています。
一般的な住宅ローンでは、最長借入期間が35年です。 30歳で自宅を購入した場合、返済を終えるのは65歳になるため、定年を迎えると収入が減って月々の返済が負担になる恐れもあるでしょう。住宅ローンを組む際は、定年退職の年齢で返済を終えられるようにするのか、35年で借りて計画的に繰り上げ返済していくのかについても決める必要があります。
また、最近では住宅ローンの返済期間を50年に延長する金融機関も出てきています。50年ローンなら毎月の返済額は減らせるものの、定年後に返済が残る可能性が高く、支払う利息も増えてしまうため、どちらが良いかしっかりとした検討が必要です。
返済方法について
住宅ローンの返済方法には以下の2種類があり、それぞれがメリット・デメリットをもっているため、どちらを選択するかも重要なポイントになります。
■元利均等返済
月々の返済額を一定にする返済方法。支払う返済金に占める元金と利息の割合が変化するのが特徴です。毎月決まった額を返すため、返済計画を立てやすいのがメリット。一方、返済開始すぐは元金の減り方が遅くなる点と、借入期間が同じなら元金均等返済と比べて返済総額(利息)が多くなる点がデメリットです。
■元金均等返済
毎月元金を一定額返していく返済方法。開始時は返済額が多いものの、徐々に支払う金額は減っていきます。元利均等返済と比べて元金の減りが早いため、支払う利息が少なくて済むのがメリット。デメリットは、返済がはじまってすぐは月々の支払いが多く、初期の負担が大きくなってしまう点です。
まとめ
一般的に年収の5倍が目安といわれる住宅ローンですが、返済負担率や自己資金比率なども考える必要があるため、一概に年収だけで借入可能額は決められません。Web上のシミュレーションでもある程度の目安は把握できるものの、悩みを解決するには、やはり実際に専門家に相談してみるのが一番です。
住宅ローンでお悩みの方は、一度、住宅展示場に見学に行ってみるのをおすすめします。住まいづくりのプロが常駐している住宅展示場のモデルハウススタッフに直接いろいろな話を聞いてみれば、悩みや不安の解決につながりやすくなるでしょう。
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監修・情報提供:馬場 愛莉 (2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級))
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本記事はTrail(株)が記事提供しています。
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