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【第113回】 省エネ住宅は「健康的」で「経済的」! 健康で快適な暮らしを助ける省エネルギーな家づくり

 新築やリフォームの際にぜひ検討いただきたいのが、省エネルギー住宅(省エネ住宅)です。高齢者が自立して暮らせる住生活の実現や、安全で質の高い住宅ストックを推進する観点から、国も健康増進を目的とした省エネルギーな住宅施策を推進しています。断熱性能が高く、夏涼しくて冬暖かい省エネ住宅は、経済的なだけでなく、私たちの健康維持にもプラスの面があります。このコラムでは、なぜ省エネ住宅が「健康的」で「経済的」なのか、また省エネ住宅とはどんなものなのか、ポイントをお伝えしていきます。



 


<INDEX>

【1】省エネを実施した居住者の健康への影響

【2】断熱性の高い住まい「省エネ住宅」とは?
 

【1】省エネを実施した居住者の健康への影響

 

国土交通省が2014年から行ったスマートウェルネス住宅等推進調査事業というものがあります。その調査の中で、省エネリフォームを行った家の居住者の健康がどのように変化したかが報告されました。

省エネを実施した居住者の健康への影響】(※出典:国土交通省)


1.リフォームの断熱性改善により、最高血圧が平均3.5mmHg低下
下のグラフのように室温が下がると血圧が上がっていることが分かります。特に高齢になればその影響も大きいようです。
そのような住まいに断熱改修リフォームを実施すると、最高血圧が平均3.5mmHg低下するという結果が報告されています。




2.断熱性が高い(室温18℃以上)住宅では、健康診断結果の異常所見が少ない
室温18℃未満の住宅に住む人は、室温18℃以上の住宅に住む人と比べて、以下のような結果となることが報告されました。

・心電図の異常所見のある人が約1.9倍
・総コレステロール値が基準範囲を超える人が約2.6倍



3.断熱性が高い(床付近温度が15℃以上)住宅では、通院人数が少ない
床付近の室温が15℃未満の住宅に住む人は、15℃以上の住宅に住む人に比べると、以下のような結果となることが分かったそうです。

・高血圧で通院している人が約1.5倍
・糖尿病で通院している人が約1.6倍



4.断熱性が低い(居間や脱衣所が18℃未満)住宅では、”熱め入浴”が多くヒートショックに要注意
居間や脱衣所の室温が18℃未満の住宅では、入浴時の事故リスクが高い“熱め入浴(42℃以上)”が約1.8倍に増加。部屋ごとの急激な温度変化によって血圧が上昇・下降し、心臓や脳に大きな負担をかけるヒートショックの危険性が高まることが分かったそうです。



5.断熱性が高い(居間や脱衣所の室温が高い)住宅では、住宅内での活動が活発に
断熱改修により室温が改善したことで、住宅内での活動量が30分程増加する結果となったそうです。

上記調査の結果、断熱性能が高いあたたかい家に住むことが、ヒートショックや高血圧症の防止、循環器疾患の予防など、健康的な暮らしにつながることが示唆されたのです。


では、断熱性を高めた省エネ住宅とは、具体的にはどのような家なのでしょうか。

 

【2】断熱性の高い住まい「省エネ住宅」とは?

 

日本の家庭で消費するエネルギーの約30%が冷暖房と言われています。その冷暖房をおさえることができる住宅のことを省エネ住宅といいます。
その省エネの基準は大きく以下の2つが用いられています。
(出展 国土交通省「省エネ住宅のススメ」資料より筆者が作成

屋根や外壁を高断熱材や高断熱窓で魔法瓶のような構造にし、エアコンや給湯器、LED照明などの効率的な設備を導入し省エネルギー性能を高めことを目的として、それぞれに基準が設けられています。
最近よく耳にする、ZEH住宅(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)も省エネ住宅の種類です。ここでの詳細は省きますが、簡単に言うと上記の基準に「再生可能エネルギー」を導入し、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロ以下になることを目指した家を指します。


■省エネ住宅4つの特徴

1.快適性
季節を問わず、高断熱、高気密により室温の変化が少なく過ごしやすい。

2.経済的
冷暖房に費やすエネルギーが少なくて済むため、光熱費の節約につながる。

3.健康的
ヒートショック、高血圧や循環器疾患、熱中症のリスクを下げ、室内で活発に動ける。

4.耐久性
温度差による木材や建材の結露やカビを抑え、住宅を長持ちさせる。


これらの特徴を持った省エネ住宅を実現するためには、断熱、日射遮蔽、気密の3つのポイントで対策を行っていきます。
このうち健康に最も関わりが深いのが「断熱」対策です。
家を建てる際に注目してほしい、「断熱」について簡単にご紹介していきます。


■断熱とは?

(出展 経済産業省

断熱とは、外皮(建物の外周部)部分を通しての熱の移動を少なくすることです。この熱の移動を減らす、つまり、壁、床、屋根、窓など家の内外の熱の移動をできるだけ遮断する対策をとることにより、少ないエネルギーで効率よく冷暖房を行える高断熱な家が実現します。
その外皮の仕様基準に「断熱等性能等級」というものがあります。これまでは1~5等級まででしたが、2022年10月から6等級、7等級が新設される予定です。一般的には4相当以上であれば断熱性の対策ができていると言えます。


■断熱性を高めた場合の2つのメリットとデメリット
メリットは、「経済性」と「快適・健康性」があげられます。

1.経済性

  • ・高い断熱性と高効率な設備により、月々の光熱費の抑制につながる。
  • ・太陽光発電を設置した場合の余剰電力の売電も可能。
  • ・国や各行政で建てる際に利用できる、助成金や補助を活用できる可能性もある。(ここでは省きますが、こどもみらい住宅支援事業*などがあります。)

*詳細はこちら

2.快適・健康性

  • ・室内温度の変化が少なく、夏は涼しくて冬は暖かい。
  • ・家の中での気温差が少ないため、ヒートショックが小さく室内でも活動しやすい。




一方で、省エネ住宅を建てる時のデメリットとしては、「建設コスト増加」や「利便性低下」があげられます。

1.建築コスト増加

  • ・高性能な断熱材はコストが高い。
  • ・気密性を上げる対策を行うと、さらに建築コストがアップする。


2.利便性低下
・厚みのある断熱材を敷設することで、壁厚が厚くなり部屋が狭くなる。


今回は、なぜ省エネ住宅が健康増進に役立つのか、また省エネ住宅とはどんな家なのかをお伝えしました。百聞は一見にしかず、ですので、断熱性をアップさせる建材や施工方法などは実物をモデルハウスでご覧になってはいかがでしょうか。
また2020年4月からは建築物省エネ法が改正され、住宅を新築する時には建築士がお客様に対して、省エネ性能を説明することが義務づけられました。省エネ性能などの詳しい解説については、住宅展示場に出展しているハウスメーカーにお問い合わせください。


★お問い合わせの際は、住宅展示場検索画面よりどうぞ。

 

 


監修・情報提供:金内 浩之 (一級建築士)
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役立つマイホーム基礎知識はネクスト・アイズ(株)が記事提供しています。
本記事に掲載しているテキスト及び画像の無断転載を禁じます。

 

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