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家づくり最新コラム

【第111回】 子どもと楽しく暮らす家! ママとパパに優しい間取り術

ここ数年「子ども」や「子育て」をキーワードにハウスメーカーやディベロッパーなどが力をいれた住宅の開発などをしている他、 キッズデザイン賞などの子どもに関するアワードの活性化など、行政や企業も「子育て」や、「子ども」にまつわるデザインに関心を寄せています。
ポイントを知って、子どもと家族が幸せに暮らせる家づくりをいたしましょう。


<INDEX>

【1】子どもの安全や健康と住環境への配慮

①安全な設備で家庭内の事故を予防
②健康的な住まいをつくる建材にも注目


【2】子どもの才能をのばす家づくり

①回遊性や空間に変化を持たせる
②リビング付近で勉強できる環境をつくる
③コミュニケーションのきっかけづくり
④子供部屋はリビングからの動線がポイント


【3】家事を楽にする間取りの秘訣

①家事動線を考える
②収納計画を考える


【4】子育て世帯を支援する制度

①こどもみらい住宅支援事業
②贈与税非課税措置
③その他 自治体独自の支援制度

 

【1】子どもの安全や健康と住環境への配慮

子育てするための家で重要なことは、子どもにとって有益な設計であることはもちろんですが、ママやパパにとっても子育てしやすい間取りであることが大切です。 ここではまず、子どもの健康や安全に配慮した家づくりのポイントをみていきます。
 

①安全な設備で家庭内の事故を予防
子どもの不慮の事故は、毎年一定数起こっており、特に家庭内での事故は多いようです(図1)。いくら気を配っていたとしても事故は一瞬にして起こるので、設備の設置やデザインで予防するなど、家づくりのなかで配慮することが非常に重要です。



※表内数字は事故発生件数
※⼈⼝動態調査 第9表 交通事故以外の不慮の事故による死亡数,年齢(特定階級)・外因(三桁基本分類)・発⽣場所別から家庭は居住施設を含む、商業施設等はスポーツ施設等を含む、その他は街路等、⼯業⽤地 域、農場、詳細不明を含む 人口動態調査サイトはこちら
参考:消費者庁 ⼦どもの不慮の事故の発⽣傾向より 作成

例えば、浴室に乳幼児が誤って入り溺死する事故の防止の為に入口のチャイルドロックや、各部屋の扉による指はさみ防止機能などの設備はぜひとも取り入れていただきたい設備の1つです。

 

②健康的な住まいをつくる建材にも注目
日当たりや換気が悪いとカビなどが生え喘息やアレルギーの原因となることもありますので空気環境にも注意しましょう。

例えば、無垢材や漆喰などの自然素材は、アレルギー性の物質を含まないものが多くカビやダニをおさえる効果も期待できます。さらに、自然素材は、空気の調湿機能が高いものもあり、漆喰などは、吸湿性や保温性などにも優れているので、壁や天井・床などにそういった建材を使うこともおすすめします。室内の温度を一定にという観点であれば、床暖房も検討するといいでしょう。エアコンやストーブなどは空気が乾燥し咳などの症状が出る場合もありますが、床暖房であればその心配もありません。何より、子ども達が素足で家の中を足り回れるので、快適に過ごせるはずです。

子どもたちの安全や健康に配慮した商品やサービスなどに贈られる、「キッズデザイン賞」では、住宅に関連した商品もございます。ぜひ参考にご覧ください。

 

【2】子どもの才能をのばす家づくり

「頭の良い子が育つ家」の著書であり、慶応大学エコスマートライフ研究プロジェクトの四十万靖先生は、有名中学に合格した子の多くが自室ではなくリビングなどで勉強していた、という研究を発表されています。最近では、子どもの才能を伸ばすような間取りの工夫が多く研究されています。


①回遊性や空間に変化を持たせる
子どもは身体も脳も成長期なので、五感を刺激し身体感覚を鍛えることで脳も活性される為、空間に変化をもたせることが1つ目のポイントです。
具体的には、吹抜けで3次元的に変化をつけたり、図2のように行き止まりの無い回遊できる空間をつくると良いと言われています。
子どもは何故かぐるぐる回れるところが好きですよね。


図2 回遊性のある間取り


②リビング付近で勉強できる環境をつくる
子ども部屋にこもって勉強するよりも、家族の気配を感じるリビング付近で勉強することで適度な生活音が五感に刺激を与え、脳の刺激に良いようです。
普通だと、ダイニングテーブルで勉強してしまうところですが、できればワークスペース(学習スペース)をリビング付近に設けると理想的です。
また忘れてはならないのは収納場所の確保です。勉強道具はどうしても散らかりやすいので専用の収納場所を設けましょう。


図3 リビング付近のワークスペース



③コミュニケーションのきっかけづくり
日本人の住まいは、古くは襖1枚で家族の気配を感じられるものでしたが、戦後西洋式の住宅の形式が取り入れられ子供に個室が与えられました。その結果、家族と会話もせず自分の部屋に引きこもる子どもが増えたと言われています。
欧米人の様に普段からスキンシップなどのコミュニケーションを取る文化には個室はいいですが、そのようなコミュニケーションを得意としない日本人だと、個室=孤室となりやすいようです。
親子のコミュニケーションがしっかり取れてこそ、子どもの成長が育まれますので出来る範囲で工夫しましょう。

具体的にお勧めのプランは、家族全員が使える本棚「ファミリーライブラリー」の設置。家族がどんな本を読んでいるのか、お互いを知るきっかけや知識の共有など良い面が沢山あります。
また、「リビングイン階段」は子どもの帰宅時に、個室に入る前に必ずリビングを通る為自然と挨拶やコミュニケーションが生まれます。


④子ども部屋はリビングからの動線がポイント
子ども部屋は、子どもが自由に空間を使える唯一の場所です。自分で考えて管理する力を伸ばすためにも個室を設けるようにしましょう。まだ小さい内は、リビングの一角に家具などで仕切って子ども専用空間をつくることもできます。小学生になると、自我が徐々に育ち家族以外との時間も増えるため、自立する1つの手段として「子ども部屋」は必要です。その際は、先にもあげたように、孤立し過ぎないように間取りでの工夫がとても重要です。

1番のポイントは、リビングからのアクセスしやすい動線を意識すること。
リビングを通って子ども部屋に行くような間取りにすることで、自然と家族とのコミュニケーションが生まれます。また、子どもの様子をさりげなく見守れる適度な距離感も作れるため、親子で暮らしやすい間取りになるでしょう。その他にも子ども部屋の間仕切りは、可動式にすると2人以上いる場合は必要に応じて間仕切りを開いて広い空間で遊ぶことも、それぞれにプライバシーを保つことも子どもたちの判断で自由に変えることができます。


以下の4点を参考に、子どもの才能をのばす家づくりを検討してみてください。
1.「回遊性」
2.「リビングの近くにワークスペース(学習スペース)」
3.リビング階段など「コミュニケ―ション」が自然ととれる工夫
4.子ども部屋は「リビングからの動線」を意識
 

【3】ママとパパに優しい家事を楽にする間取りの秘訣

ママとパパが子育てのしやすい間取りにするには、日々の家事を楽にすることも非常に重要です。
ここでは、そんな家事を楽にする間取りのポイントをご紹介します。


①家事動線を考える
家事動線とは、家事を行う時の人の動きのことで、炊事、洗濯、掃除、ごみ出しなどがスムーズに効率良く出来る様な位置関係に設計をすることをお勧めします。
家の中なので大した距離ではありませんが、階段の昇り降りなども含めて毎日のことなので、配慮されていると時間短縮やストレス改善に役立ちます。
具体的には、図4のように、水周りをなるべく集約したり、洗濯⇒収納の流れをスムーズにしたりすることなどができます。

図4 家事楽間取り


②収納計画を考える
「住まいの不満に関するアンケート」などで上位にのぼるのが「収納」です。(*)
設計の段階では、ある程度収納を確保しておけばいいだろう、ということで大まかに計画されるケースがほとんどですが、収納は単に面積を確保すれば良いというものではなく、使う場所の近くに収納場所を設置すること、出し入れがしやすい棚などを設けるなどの形状の工夫が大切です。
また、その人のライフスタイルによって持っているものが異なる為、ひとりひとりに合わせた収納計画が必要となります。

例えば、サーフィンが趣味の方はサーフボードの収納場所が必要ですし、掃除機はロボット掃除機を使っているという方は置き場所に充電用電源が必要、と様々です。

面倒でも全ての持物をリストアップして何処にどのように収納するのかシュミレーションすることをお勧めいたします。
*参考:「くらしのマーケット」調査
 

【4】子育て世帯を支援する制度

また、行政でも子育て支援をさまざまな形で取り組んでいます。


①こどもみらい住宅支援事業
国土交通省により、子育て支援及び2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や改修に対して補助する事業です。詳細な条件はありますが、ZEH住宅*で、2023年3月31日まで請負契約・着工・申請した場合に最大100万円の補助が受けられます。
*「ZEH」「Nearly ZEH」「Nearly ZEH-M」等が対象

詳細は、こちらからご覧ください。


②贈与税非課税措置
「住宅取得資金」「教育資金」「結婚・子育て資金」の非課税措置があります。2022年度は「住宅取得資金」では、期間が2023年12月31日まで延長され、省エネ等住宅の場合は最大1,000万円、それ以外は上限500万円が非課税となります。

ちなみに、省エネ等住宅とは以下のいずれかに該当する住宅を指します。
・断熱等性能等級4以上もしくは一次エネルギー消費量等級4以上
・耐震等級2以上もしくは免震建築物
・高齢者等配慮対策等級3以上

詳細は、国税庁ホームページをご覧ください。


③その他 自治体独自の支援制度
例えば、千葉県松戸市では「三世代同居等住宅取得支援」として、親世帯(祖父祖母)が1年以上市内に居住していて、10年以上、近居または同居する予定の場合は最大100万円の補助が出るという制度があります。

詳細は、千葉県松戸市「三世代同居等住宅取得支援」のホームぺージをご覧ください。
松戸市以外にも子育て世帯への支援を行っている自治体はありますので、計画前にいちど調べてみてください。

上記のような役立つ制度について検討されたい場合は、総合住宅展示場のハウスメーカーに相談してみましょう。またいろいろな間取りの実例を見ることができるので、ぜひ住宅展示場に足を運んでみて素敵な住まいづくりにお役立てくだだい。

※2022年7月11日時点の情報を元に更新しております。


一級建築士 吉田 美帆
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役立つマイホーム基礎知識はネクスト・アイズ(株)が記事提供しています。
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