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【第99回】 省エネ住宅を建てるメリットと利用できる補助金

夏はすずしく冬は暖かい高断熱・高性能な省エネ住宅は、家計や健康にもやさしく、自然災害などの非常時にも心強い、快適で安心な住宅です。また、二酸化炭素などの温室効果ガスを減らし地球環境にもよい住宅のため、国から各種補助金を受けることができます。今回は省エネ住宅を建てるメリットや、基準を満たすと受けられる補助金についてお伝えします。

【1】省エネ住宅は国が後押しする温暖化防止策

2021年4月に開催されたアメリカ主催気候サミットで、菅総理大臣はCO²など温室効果ガスを「2030年度に2013年度比46%削減を目指す」宣言をしました。

目標を達成するためには、住宅の省エネ化も必須です。こうした背景を受けて、2021年4月から注文建築などでは建築士から建築主への省エネ性能の説明が義務化されました。さらに今後、新築される家については、年間のエネルギー収支がおおむねゼロになることを目指した省エネ住宅の一種、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を2030年までに標準化することを目標としています。

こういった背景から国が後押しする省エネ住宅ですが、光熱費の節約、断熱効果で室温が快適、ヒートショックなど病気を防ぐ、創エネ・蓄エネで災害時にも電気を使える、といった多くのメリットがあります。

では、国が定める「省エネ住宅」とは、実際にどのような住宅なのか簡単にご紹介します。

 

【2】国が定める省エネ住宅のポイント

国が定める省エネ住宅になるためのポイントは大きく2つです。

1.一定以上の高断熱で住宅の熱を外に逃さない家(外皮基準)
屋根や天井、外壁や床、窓やドアを高断熱にすることで、外気の暑さや寒さをさえぎって、室内を快適な温度に保つ住宅です。

2.省エネ効率のよい家電や設備で一定以上のエネルギーを削減する家(一次エネルギー消費量基準)
効率の良いエアコンや冷蔵庫などの家電製品や給湯器、LED照明などエネルギーを削減し、太陽光発電や太陽熱の温水・温風システム、電力を貯める蓄電池などエネルギーを創ることで省エネ効果を高める住宅です。

出典:資源エネルギー庁省エネポータルサイト

前章でZEHという名称が出てきましたが、上記を基に、年間のエネルギー収支がおおむねゼロになることを目指した住宅がZEHです。

ZEHのメリットは省エネ・創エネで光熱費を安く抑え、室内温度を一定に保ち、急激な温度変化によるヒートショックなどを防ぐ健康な家であることなどがあげられます。また、台風や地震など災害時の停電にも太陽光発電や蓄電池で対応できるなど、災害にも強い家です。

※HEMS(ヘムス)とは電気やガスの使用量をテレビやスマホ、パソコンなどで「見える化」したり「自動制御」などを行うことで省エネ化するための機器です。
(資源エネルギー庁 省エネポータルサイト参照

 

しかし、省エネ住宅のような高性能な住宅を建てるとなると気になるのは建築費です。国土交通省の試算によると、省エネ基準に適合させるために必要な追加の費用は、120㎡の戸建て住宅で約87万円といわれています。そこで活用したいのが、省エネ住宅への補助金制度です。

【3】省エネ住宅で使える補助金のまとめ

一定の省エネ基準を満たした住宅は補助金を受けられます。
例えば、2021年10月末までに工事請契約を結ぶことで利用できる「グリーン住宅ポイント制度」というものがあります。新築住宅で最大100万円相当の追加工事や様々な商品と交換できるポイントが付与される制度です。制度の詳細は前回の「【第98回】最大100万ポイント! 「グリーン住宅ポイント制度」とは?」のコラムをご覧ください。

●前回コラムはこちらから

ここではその他に、国から受けられる補助金についてご紹介します。

「ZEH」は国の省エネ基準から20%以上の一次エネルギーを削減、「ZEH+」(ゼッチプラス)は25%以上の削減を目指す住宅。「次世代ZEH実証事業」はさらに蓄電システム、燃料電池、太陽熱利用温水システム、V2H充電設備のいずれか1つ以上を導入し、さらなる省エネを目指す住宅で、それぞれに対して補助します。

「地域型住宅グリーン化事業」は、国の採択を受けた中小の工務店が建てるZEHや認定低炭素住宅等の省エネ住宅に対する補助です。地域木材の利用や、一定の要件を満たした三世代同居住宅、建築主が40歳未満または18歳未満の子供と同居する住宅で加算を受けられますが、併用はできません。

「サステナブル建築物先導事業」は、ZEHにプラスして、建築時、居住時、解体時のCO2を減らし、創エネと組み合わせて建物のライフサイクルの中でエネルギー収支をマイナスにする住宅に対して補助します。

こうした補助金を受けるには、公募期間が決まっており予算がなくなり次第終了となってしまいます。

安心快適で光熱費も節約できる住宅を建てようと思ったら、まずは住宅展示場に足を運んで、省エネ住宅の建築費や補助金について聞いてみてはいかがでしょうか。

<参考サイト>
国土交通省 省エネ住宅のススメ 
国土交通省 経済産業省・国土交通省・環境庁による3省連携の取り組み
資源エネルギー庁 ポータルサイト
今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方について (第二次答申)(参考資料)
省エネ基準への適合のための追加コスト等の 試算例について(住宅)

※2021年7月5日(月)時点の情報を基に作成しております。

 


執筆・監修・情報提供:有田美津子
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コラムはネクスト・アイズ(株)が記事提供しています。
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